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合言葉は「ファイト!千葉」 ロッテ・鈴木大地が考えた「いま被災地のためにできること」

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/09/13
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 まくし立てるように語り出した。9月9日に猛烈な勢いで千葉県内を通過した台風15号の被害を知った鈴木大地内野手は台風直撃後初の本拠地開催となった12日の試合前に千葉ロッテマリーンズの選手会長という立場から被災地、被災者へのメッセージを口にした。

「ニュースなどを見てずっと心を痛めています。自分たちは野球をするしか出来ないですが、どんどん勝って皆様の想いに少しでも応えることが出来ればと思います。皆様、大変な想いをされているかと思います。ボクたちの気持ちは一つです。野球を通して千葉に明るい話題を提供できるようにしたいです。ファイト!千葉。一緒に頑張りましょう」

「自分たちに出来ることはあるのだろうか?」

 前夜も頭の中にはずっと台風で被害にあっている人々の事があった。東京ドームでの北海道日本ハム戦に快勝をした後もどこか喜べない自分がいた。自宅に帰っても妻との話題は被災地の事だった。「自分たちに出来ることはあるのだろうか?」。妻と二人で話し込んだ。そんな時に自身のInstagramに届いていた多数のメッセージが目に入った。被災者からのコメントも多数あった。その中で「今は野球を見られる環境にいないけど、マリーンズが勝ったという情報が入ってくるのが一番嬉しい」というコメントが目に入ってきた。同じようなコメントが多数見られた。無力感に包まれていた鈴木の胸に響いた。千葉に本拠地を置くプロ野球チームの選手としての強い自覚が鈴木の心に火をつけた。

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「千葉のためにどんどん勝ちたいと思います。残り試合、クライマックス・シリーズ、そして日本シリーズ。それが皆様の励みになり、力となり、希望となるために勝ち続ける。野球をするしか出来ない自分たちには、野球を通して伝えていきたいと思っています。被災地で頑張っている人たちにメッセージを送り続けたいと思っています」

選手会長の鈴木大地 ©梶原紀章

 選手会長の想いをチーム全体が共有した。試合前には球団の各種SNSに「ファイト!千葉」のロゴが入ったメッセージがアップされた。試合開始直前にもメインビジョンにメッセージが映し出され、場内アナウンス担当の谷保恵美さんが千葉ロッテマリーンズを代表してメッセージを読み上げた。

「この度、台風15号の影響により甚大な被害を受けられた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。千葉県内にはいまだに停電や断水が続いている地域が多数あり不便な生活をされている方々にいらっしゃいます。一日も早い復旧、復興を心よりお祈り申し上げます」

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