アイドルグループ・乃木坂46の橋本奈々未が、24歳の誕生日であるきょう、さいたまスーパーアリーナで開催されるコンサートでグループを卒業、芸能界からも引退する。
昨年10月の卒業発表時には、それまで仕送りをしてきた弟が大学に入る目処がついたこともあり、卒業を決めたと明かした。もともと芸能界に興味はなかったが、東京の美大に進学して経済的に困っていたころ、たまたま乃木坂46のメンバー募集を知り、オーディションを受けたという話はファンにはよく知られる。
昨年、北海道文化放送で『乃木坂46 橋本奈々未の恋する文学』という番組が「冬の旅」「夏の旅」に分けて放映された(DVDもリリースされている)。これは、北海道とゆかりのある文学作品の舞台を、橋本が旅するというもの。「冬の旅」では、橋本の愛読書という村上春樹の『ノルウェイの森』と『羊をめぐる冒険』のほか、桜木紫乃『ラブレス』、渡辺淳一『阿寒に果つ』がとりあげられている。
『ラブレス』の回では、橋本が作品の舞台となった釧路を歩くとともに、主人公と同じくかつてこの町のキャバレーに勤めていた女性からも話を聞き、その人生に触れた。そして旅の終わりがけには、こんな感想を口にしている。
「人の人生を幸せか、幸せでないかという区分けをするのは、本当にその人自身だなと思ったし、もちろん自分の人生も、結局苦労とか本当に腹に抱えているものは自分にしかわからない。その人の最後が幸せだったと思えることを願いたいけど……その評価って、自分のエゴなのかなって思いました」
そんなふうに、思っていることを自分の言葉で語れるところも橋本の魅力だった。はたしてきょう、彼女はどんな言葉を残してステージを去るのだろうか。