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ドラフト あの“完全試合男”が語る「佐々木朗希投手を育てられる球団、育てられない球団」

佐々木朗希「どこに行って欲しい?」アンケート結果コメント

 17日に行なわれるドラフトの目玉候補、大船渡高(岩手)の佐々木朗希投手。

『文春オンライン』では「佐々木投手にどこの球団に行って欲しい?」という緊急アンケートを実施。「行って欲しい」1位が日本ハム、2位楽天、3位が巨人、阪神で並ぶという結果だった(#1で全ての結果を公開中)。

 1981年のドラフトで巨人に指名され、高卒ドラフト1位でプロ入り。通算159勝、1994年には完全試合を達成した槙原寛己さんにこの結果について感想を聞いた。

10月2日にプロ入りを表明し、12球団OKの姿勢を示した佐々木朗希選手 ©AFLO

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 日本ハムが「佐々木投手に行って欲しい球団」1位というのは妥当だと思います。日ハムには実績がありますから。ダルビッシュ有(カブス)にしても、大谷翔平(エンゼルス)にしても、「その年のドラフト人気1番」と言われる選手を指名して、きちんと育てて結果を出してきた。その姿勢がプロ野球ファンから評価されたんでしょう。

 特に大谷に関しては賛否の分かれた二刀流を見事に実現させました。プロ野球では前例のないことですから、とても難しかったと思います。それを形にして、メジャーへの道を作った。球団として育成能力が高いことを証明していると思います。

 

 私自身、佐々木投手は素晴らしい素材だと思います。もちろん一番の魅力は163kmを記録したストレート。これは生まれもった素質です。また腕の振りが速く、190cmの高身長から投げ下ろす、角度のあるスライダー、フォークなど変化球もいい。コントロールを磨けば、どの球団でも十分にローテーションを担える逸材です。

 ただし佐々木投手自身が12球団OKと言っても「即戦力で考えない」チームに行って欲しいと思っています。

 私は愛知県の大府高校を卒業して、1982年に巨人に入団しました。その後、1年目は2軍でしっかり走り込んで体を作った。2軍戦で良いピッチングをしたときもありましたが、1年目は1軍に上がることはありませんでした。プロに入って最初に大事なことは「下半身づくり」と「頭」。頭というのは考え方のことで、私も「君はまだまだ1軍でやる力はないんだ」というふうにしっかり教育されました。結果としてそれが良かったのだと思います。

槙原寛己氏。1981年のドラフトで巨人に1位指名され、プロ入り

 佐々木投手も1年目から「2軍で良かったら、1軍で投げさせてみよう」というチームではなく、しっかり育成ビジョンを持っているチームが良い。中途半端に1軍に上げてしまうと「俺は1軍の力があるんだ」って勘違いしてしまいますから。

 今シーズンの後半戦を見ていると、どこのチームも先発が足りず、ピッチャー事情は決して良くなかった。このドラフトでは「即戦力」が求められる傾向が強くなるでしょう。