私たちが最も馴染みやすい西洋絵画は何か? 好みはいろいろあろうけれど、19世紀後半の印象派から20世紀初頭のエコール・ド・パリと呼ばれた流派あたりが、人気も高くいちばんしっくりくるんじゃないか。まさにその時代の作品ばかりを集めた展覧会が、横浜美術館で開かれている。「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」だ。

アンリ・ルソー《婚礼》1905年頃 © RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF
アンドレ・ドラン《アルルカンとピエロ》1924年頃 © RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

パリ・オランジュリー美術館から運ばれた作品群

 展名の通り、ルノワールを含む13人の画家の作品で展示は構成されている。これらはすべて、パリ中心部にあるオランジュリー美術館のコレクション。同館の所蔵品は、20世紀初頭のパリで広く活動した画商ポール・ギヨームの集めた絵画が中心を成す。同時代のアーティストを精力的に応援したり見出したりした人物であり、目利きでもあったので、印象派~エコール・ド・パリの優れた作品がここに集まっているのだ。

 会場を巡ると、印象派の画家としてキャリアをスタートさせたオーギュスト・ルノワールの作品を集めた展示室は、やはりハイライトとなる。とりわけ《ピアノを弾く少女たち》の、自由で軽やかな筆致と色合いはどうだろう。少女たちがピアノの前で戯れる快適な室内に居合わせて、話し声や音楽が実際に聴こえてきそうな気分になる。

ADVERTISEMENT

 そう、描かれている対象について、知らずたいへん親密な気持ちになれるのがルノワール絵画の美質と、改めて気づかされる。広く愛され高い人気を誇るのはそのためだ。

オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く少女たち》1892年頃 Photo © RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF

 そう、描かれている対象について、知らずたいへん親密な気持ちになれるのがルノワール絵画の美質と、改めて気づかされる。広く愛され高い人気を誇るのはそのためだ。