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2019/10/31

genre : ニュース, 国際

 1時間後、同じく約300人規模の人数を集めた挺対協も記者会見を開く。そして被害者たちとは、真逆の主張を繰り広げた。

「日本政府に対して戦争犯罪を認めて公式に謝罪し、法的賠償を行うよう要求する! 日本政府は日本軍慰安婦に関する歴史を隠蔽(いんぺい)せずに正しく記録し、教育せよ! 私たちはどのような迫害にも屈さず、日本政府から必ず公式謝罪と法的賠償を受ける!」

 集められた300人は小・中学生を含めた活動家や動員された人たちだった。

「被害者でもない人達が、なぜ被害者の声を勝手に代弁するのでしょうか? 被害者や遺族は、もう上は90代と高齢なのです。もう残された時間はない。それなのに活動家たちは、終わりのない日本叩きばかりをして、被害者の救済を遅らせるばかりなのです」(崔氏)

崔氏らの声が韓国の主要メディアでも報じられるように

 そして崔氏らの切実な声は、初めて「朝鮮日報」などの韓国の主要メディアでも報じられるようになったのだ。これまで韓国主要メディアは市民活動家や支援団体の「日本は謝れ」という声ばかりを報じてきた。韓国メディアの一面的な報道は日韓関係悪化の一要因でもあった。被害者が意を決して行動を起こしたことは、そうした状況に楔(くさび)を打ち込む効果があったようだ。

2019年の「光復節」で登場した徴用工像

 開かれたパンドラの箱。それは日韓対立だけでない新しい構図が歴史問題の中に存在することを、韓国国内にも知らしめた。

 崔氏は「日韓が対立しても何も解決しない」と呟く。歴史に翻弄され傷ついた人たちは、本心では国同士の諍いを望んではいない。それがいつかたどった戦争への途でしかないことをよく理解しているからだ。

 残された希望を求めて、本当の被害者たちの闘いが始まった――。

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