ついにパンドラの箱が開かれた。
10月30日、韓国大法院(日本の最高裁にあたる)が元徴用工への賠償を日本企業に命じた判決から1年。この日は日韓断絶のトリガーとなっていた徴用工問題について、あらゆる厄災と問題が噴出した一日となった。
まず活発な動きをみせたのが、日本を批判する勢力だった。
元徴用工の原告らが記者会見し、日本政府や企業に賠償に応じるよう改めて求めた。
「1日も早くわれわれに謝罪してほしい」
元徴用工の一人は会見でこう訴えた。大法院判決後、日韓政府の動きが停滞していることを受けて、強く日本側の対応を求める言葉を並べた。
また、日本企業相手の新しい提訴も起こされた。徴用工裁判の支援団体が明かしたところによると、熊谷組と古河機械金属の2社を相手取り、ソウル中央地裁に訴訟を起こしたという。1周年を契機として、さらに日本企業相手の裁判を行う構えを見せたのだ。
それだけに止まらず、支援団体は国連人権理事会に「陳情書」を提出したことを表明、日本側へ賠償するよう圧力をかけることも明らかにした。
差し押さえた資産の現金化「2月までずれこむ」の真意
こうした支援団体が反日市民運動家に牛耳られていることは、文春オンライン記事『徴用工裁判「その不都合な真実」』でレポートした通り。彼らの日本政府や日本企業に内外から揺さぶりをかけ、追い詰めようとする戦略を10月30日に一斉に展開した。
「併せて支援団体らは原告による日本企業の資産の現金化が、『書類手続きの都合』で2月にまでずれこむという見解を発表したのです。これも一つの“戦略”ではないか、という声が記者の中では上がっていました」(ソウル特派員)
昨年の大法院判決を受けて、原告弁護団が日本企業の差押を強行した。その差押資産をいつ現金化するのかというのが、日韓関係の中で一つの焦点となっていた。
「疑問の声が上がったのは、何度も順延が繰り返されたからです。当初、差押資産の現金化は8月に実行されるとされ、その後年末から1月にかけてと順延された。そして今度は2月に先送りです。いずれも『書類の手続き』というのが理由でした。
現金化をしたら日韓関係は“終わり”だということは、日韓政府も支援団体も皆わかっている。誰もそこまでは行き着く勇気はない。
そこで支援団体らは、批判記者会見を行い、日本企業への追加提訴を乱発しプレッシャーと圧力をかけ続けようとしているのではないかと疑われているのです。つまり、日本政府から譲歩とカネを引きだしたい。そのための現金化を先延ばしにして時間稼ぎをし、日本政府が屈するのを待っているのではないかという見方が出てきているのです」(同前)