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のぞいてみれば発見がある商店街の本屋さん 駒込・フタバ書店

2015/05/09

genre : エンタメ, 読書

note

 このコラム「週末の旅は本屋さん」を書き始めてから、行く先々で意識して本屋さんを覗くようにしている。自転車で走っているときには本屋の看板があれば寄ってみる、初めて降りた駅ではスマホの地図アプリを立ち上げて「書店」で検索してみる。今回紹介するフタバ書店も、そんな本屋探索の中で、たまたま見つけた本屋さんのひとつだ。通勤路から近いので、しょっちゅうそばを通っていたものの、そのお店の存在に気がついたのはごく最近だった。

霜降銀座商店街、「し」のキャラクターは、しーちゃん。

 駒込駅から徒歩5分、24時間スーパーの先、北区西ヶ原の霜降銀座商店街の細い路地を入ると1軒目の店がフタバ書店だ。魚屋、肉屋、八百屋、かばん店、おにぎり屋、ラーメン屋、小さな店が並ぶ地元の商店街。フタバ書店も商店街にとけ込んでいるごく小さな店構えだ。ご自身も地元に住む店長の森島英明さんによると、数年前まで駒込駅前にあったのだが、建物の老朽化で移転を余儀なくされ、土地勘のあった霜降銀座商店街に引っ越してきたとのこと。

フタバ書店、花屋さんの角を入ってすぐの小さなお店。

 客層は、地元の家族連れやお年寄りが中心だ。駅前にあったころは、会社帰りの方が遅くに来店したりしたが、夜8時を過ぎると商店街の通りは真っ暗になってしまう。「週末の旅は本屋さん」コラムで紹介した中では、最も小規模な、雑誌と文庫がメインのお店だ。

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 限られたスペースなので、陳列に工夫をしている。文庫の棚は、出版社ごとではなく、著者別になっている。人数は絞り込んでいるが、置いている作家、例えば東野圭吾や伊坂幸太郎、宮部みゆきや向田邦子は、それなりに揃っている。手前の平台に新刊を、さらに手前に映像化などで注目の作品を入り口から目立つように表紙を手前に、斜めに陳列しているのが新鮮だ。

陳列に工夫のある文庫売り場。

【次ページ】主張しすぎない売り場

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