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2015/05/09

genre : エンタメ, 読書

主張しすぎない売り場

 基本的には、お客様の要望に応えて、あまり主張を出さないようにしているというが、コミックスや人文系の売り場は、森島店長が書評やネットの評判、定期的に仕入に行く神保町などで情報収集して作っている。

 人文系の棚は、それぞれ、1段ごとにテーマを掲げている。例えば、「ととのえる読書」としていわゆる自己啓発本の範疇に入らない本を集めている。食の棚では、いわゆるグルメ本、レシピ本にとどまらず、文化や人間に対する考察に踏み込んだ本が並ぶ。コミックエッセイ、社会派のドキュメンタリー、食をテーマにした小説、サイズもジャンルも様々な本を、あまり硬くならない範囲で提示している。

自己啓発っぽくない、「ととのえる読書」の棚。
グルメ本やレシピ本ではない食の本。

 マンガの棚には、諸星大二郎や高野文子といった大御所から、マンガ好きの間で注目のほしよりこ、こうの史代、松田奈緒子といった作家の作品、話題の地元マンガ『東京都北区赤羽』などを並べている。ベストセラーランキング常連のコミックスのように大量に仕入れて大量に売るものではないが、「いつの間にか売れている」という森島店長が、少しうれしそうだ。

 いわゆるセレクトショップではない。この店をめざして広い商圏からお客が集まる有名店ではない。フタバ書店では、地元のお客様の要望と地道な情報収集、そして限られたスペースの中での工夫によって、棚ができている。フタバ書店の棚に並ぶ本一冊一冊は、商店街の中の小さなお店のようだ。気になってのぞいてみると、きっと面白い発見がある。

マンガ棚の渋いオススメ。
森島英明さん、『旅をする木』とともに。

【本の話WEB読者にオススメ】

 森島英明さんのオススメ本は、「ととのえる読書」の棚から、写真家、星野道夫さんの『旅をする木』(文春文庫)。美しい、とても真面目な文章で、中学生・高校生・社会人の方にも読んでもらいたい、きっと何かのきっかけになるからとのこと。

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