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「これはモノが違う」わずか3球で井口監督も興奮……ロッテ首脳陣は佐々木朗希をどう見たか

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/11/23
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「大谷翔平投手より上という印象」

 松本球団本部長が初めて佐々木を目にしたのは、今年7月の岩手大会での一戸戦だ。スカウト陣からは報告を受けたが生で見て一目惚れした。

「間違いなく投手ナンバーワンだと思った。衝撃を受けた」。松本もまた球速よりもコントロールに目が向いた。「ストレートはもちろん速い。それ以上にコントロール。変化球のコントロールも凄かった。ここまできっちりと投げられる投手はなかなかいない。球速の出る投手はいるけど、それに制球力、変化球の精度が備わった投手はそんなにいるものではない。能力と完成度の高さに驚かされた。すべてが整っている投手で、よく比べられる大谷翔平投手より上という印象を受けた。普通に投げたら打たれない。多くの人に見てもらいたい投手。こういうピッチャーが人を引き付けるのだと思う」

 初めてスタンドで目にした時から松本は大観衆のZOZOマリンスタジアムで躍動する佐々木の姿を思い描いていた。それはスカウトを束ねる永野も、チームを指揮する井口監督も同じ。気持ちを一つにしてドラフト会議に向かい導かれるように千葉ロッテマリーンズが交渉権を獲得した。

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 10月29日、3人は大船渡高校に指名挨拶に訪れた。東京から約5時間。校舎の前では長身の若者が出迎えてくれた。井口監督はガッチリと握手を交わした。

「まずは日本ナンバーワンの投手を目指して欲しい。そしてその先の目標を目指して欲しい。内に秘めた想いが強い子という印象。目力もあった。色々な話をしたけど終始、ニコニコしていてすぐにチームに溶け込んでくれそうな気がした」

 初対面を終えた井口監督はそう言って喜んだ。千葉ロッテマリーンズが一目惚れをして結ばれた縁。この先、どのようなドラマが待っているのかは誰も分からない。ただ明確なのは、まず日本一の投手を目指すという事だ。ドラフトから時間が流れ、いよいよ佐々木朗希がプロの第一歩を踏む日が近づいている。

梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

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