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狩野永徳、円山応挙らとの共演も
ハラミュージアムアークには「觀海庵」と名付けられた特別展示室もある。所蔵する東洋古美術のコレクションを観せるための場だ。いまならこちらで、「加藤泉と古美術の名品たち」と題した展示も観られる。狩野永徳《虎図》や円山応挙《淀川両岸図巻》といった日本美術史上に残る名品らとともに、加藤泉作品が並べられているのだ。
時代を超えて人を虜にしてきた作品と比べてしまえば、さすがに現在進行形のアートは分が悪いかと思いきや、そんなことはない。狩野永徳や円山応挙とともにあることで、加藤泉の作品も貫禄が増して、いっそうの普遍性を帯びたように感じられる。古典作品と加藤作品は、明らかに触発し合っている。
永徳も応挙も加藤泉も、何かを真剣につくる人たちはきっと、創作を通して世界の秘密を夢中で探してきたんだろう。そうした心持ちを同じくしているがゆえ、作品同士が共鳴しているのだ、きっと。