いま30代以上の人であれば、昔撮影した写真が、押し入れや引き出しの中、あるいは実家に、大量に眠っているのではないでしょうか。最近はスマホやデジカメが主流になったことで、撮った写真はすぐに誰かに送ったりSNSにアップすることができますが、紙焼きした写真はそうはいきません。
また、こうした写真は置き場所も取るだけでなく、そのまま放っておくと色褪せも発生してしまいますし、災害などの事故によって失われないとも限りません。データ化してしまえば、こうした心配はしなくて済むようになります。
紙焼き写真やフィルム、アルバムをデジタルデータに変換するにはいくつかの方法がありますが、今回はその中から代表的な3つの方法を紹介し、実際にそれぞれの方法で同じ写真をデータ化した結果を紹介します。それぞれの方法ごとに、画質は果たしてどれくらい違うのでしょうか?
◆方法その1:スマホアプリを使って取り込む
最も手軽なのは、スマホのカメラを使って直接取り込むことです。といっても、標準のカメラ機能でそのまま撮影するわけではありません。最近では、Googleの「フォトスキャン」のように、紙焼き写真のデータ化を目的とした専用アプリがリリースされていますので、これを使うことで、古い写真をスマホに取り込んで楽しめるようになります。
これらのアプリは色補正の機能も備えていますので、写真の色が褪せていてもオリジナルに近い色合いを取り戻せるほか、台形補正機能を使えば、斜め方向から撮影した写真も四角く修整できます。
最近のスマホのカメラは解像度も高いため、メールやSNSで誰かに送って見てもらったり、ブログやSNSに掲載する用途であれば、これで十分です。
◆方法その2:専用スキャナを使う
スマホアプリを使って写真をデータ化する方法は手軽で費用もかかりませんが、実際にやってみると天井の照明が映り込んでしまったり、写真の四隅が反って撮影時に角が浮いてしまい、全体が歪んでしまうこともしばしばです。
こうした場合に役に立つのが、スマホと組み合わせて写真を取り込むための専用スキャナです。PFUの「Omoidori(おもいどり)」なら、iPhoneに取り付けて、紙焼き写真を手軽にデータ化できます。オプションのフォトプレッサーを装着すれば、反った写真を上から押さえつけて歪みのない状態で撮影できます。
この製品は、本体内部の両側にあるライトを片方ずつ点灯させて2方向から撮影を行ない、それを1枚に合成するため、表面の反射を抑えつつ、写真を明るく取り込めるのが特徴です。約1万円強(税込価格¥12,800)の出費が必要になりますが、iPhoneを所有していて、少しでも美しくデータ化したいという人は、購入を考えてみてもよいかもしれません。
◆方法その3:まるごと業者に依頼する
ここまで紹介した方法は、写真を1枚ずつデータ化することが前提で、枚数が大量にある場合や、ネガフィルムとして残している場合には適しません。コピー機のように自動的に1枚ずつ読み取るオートシートフィーダを搭載したスキャナを使う方法もありますが、ローラーに乗せて写真を送る構造上、写真の縦横比が変わってしまったり、写真が破れているとローラーに通す過程でさらに傷むリスクもあります。
こうした場合にお勧めなのが、写真のデータ化を請け負っている業者に丸ごと発注してしまうことです。多くの業者では1枚あたり数十円の単価で、紙焼き写真のデータ化を請け負っています。ネガフィルムやポジフィルムにも対応するほか、アルバムに貼られた状態のままデータ化することも可能ですので、写真の周りに撮影データなどのメモが貼られている場合でも、まとめてデジタルデータとして保存できます。
代表的な事業者の一つである「節目写真館」では、通常のコースのほか、段ボールに詰め込んだ写真やアルバム、ネガフィルムなどを枚数・冊数に関係なく定額でデータ化するキャンペーンを定期的に実施しています。このコースは納期が半年かかるかわりに、1枚あたりの価格を10円以下に抑えることも可能ですので、大量の紙焼き写真やフィルム、アルバムをまとめてデータ化するのにぴったりです。
このほか、多くのカメラ専門店も写真のデジタル化サービスを用意しています。カメラのキタムラが行っているデジタル化保存サービスは、単価はやや高めですが、仕上がりが最短1時間と短いのが利点です。まずは手持ちの写真を何枚か申し込んでみて、どのくらいのクオリティで仕上がるのか、確かめてみるとよいかもしれません。