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客室の広さを重視するなら「リッチモンドホテル」(ハイクラスタイプ)

「リッチモンドホテル」の客室

【優れている点】

 法律上、ホテルの客室面積は9平方メートルが下限とされる。一般的なビジネスホテルの客室面積は9~14平方メートルといった辺りで、平均12平方メートルといったところか。そのような中、18平方メートルクラスという広々空間で人気なのが「リッチモンドホテル」だ。この広さになるとフルサービス型の下位シティホテルにも引けをとらない客室面積。ベッド、デスクの他に、テーブル&チェアなどを置くスペースが生まれる。

リッチモンドホテルは充実したデスクスペースでも知られる。デスクチェアやスタンドなどへの気づかいも一級で、ワーキングスペースとしても利用価値の高い客室だ。もちろんベッドのクオリティも高い。広々空間で快眠できるビジネスホテルは贅沢だ。また、“プレミア”を冠した「リッチモンドホテル プレミア」ブランドが進出しつつある。さらなるプレミアム感を打ち出せるかに注目したい。

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「リッチモンドホテル」のデスクスペース

【注意したい点】

 これほどのクオリティになると、本格的なレストランやハイセンスな温浴施設を求める声もあるが、あくまでも宿泊主体型のリッチモンドホテル。一般的なファミリーレストランがテナント入居しているリッチモンドホテルは数多くあるが、わざわざ着替えてひとりファミレスというのも億劫。一方、ルームサービスを提供している店舗もあるのでチェックしたい。いずれにせよ、ハイクラスブランドとはいえ、ホテル全体を利用してステイを楽しみたいゲストには物足りないだろう。

 ローコストタイプであれば、コンビニで弁当と発泡酒でも買って部屋で夕食というのもマッチするが、リッチモンドクラスのハイグレード感の前では何となくミスマッチ。ゲストひとりひとりに気づかうスタッフのホスピタリティマインドが高いだけに、コンビニの袋をさげてスタッフの前を通過するのは何だか恥ずかしい気がする。

続出するハイクラスブランド

 前出のスーパーホテルLohasのように、既存のホテルブランドからハイクラスを意識したブランド展開するチェーンが増えている。例えば、ロードサイドホテルとして知られる「ホテルルートイン」は、「ルートインGrand」というハイクラスブランドを展開している。

 そのような中、全国規模で拡大を続けている「マイステイズ・ホテルチェーン」にも注目。ビジネスをはじめ、シティ、リゾートなど多彩なスタイルのホテルを展開する中、ハイクラス型の「マイステイズプレミア」というワンランク上の滞在を提案。新築はもちろんだが、既存ホテルのリブランドによる改装手法は秀逸で、様々なカテゴリーのホテルを運営する会社ならではのセンスが光る。

◆ ◆ ◆

 ビジネスマンの出張宿として定番のビジネスホテルだが、今やファミリー、ひとり旅の女性、訪日外国人など、利用者層は広がりを見せている。機能性や利便性が重視される業態であるが、多彩な付加価値を打ち出さなければ生き残れない時代に突入している。もはや「ビジネスホテル」というネーミングが、施設の実態に合うのかも疑問。百花繚乱の様相を呈するホテルに、今度はどのようなサービスが登場するのだろうか。