新宿で新しい物語が始まる新業態店舗、STORY STORY

新宿西口の本屋さん

 私ごとではあるけれど、新宿西口は、思い出深い場所だ。少し昔語りをしよう。

 実家からの最寄りの都会が新宿で、西新宿にあった小学校（現在は廃校）に通っていた。京王プラザホテル、住友ビル（通称三角ビル）、三井ビルなど、西新宿の超高層ビル群はまだ成長過程、現在都庁が建つエリアは、淀橋浄水場の跡地、4号地という空き地で、草野球場があった。映画館や飲み屋、歓楽街があるというオトナの街東口側は小学生には遠い異世界だったし、南口側は開発されておらず、自分にとって大都会新宿は、西口バスターミナル周辺の百貨店だった。百貨店の上層階には本屋さんと食堂と催事場があって、周辺商圏から人を集めていた。

 現在、STORY STORYが入る小田急百貨店の10階には、当時、別の書店チェーンが店舗を構えており、そこが、子どもの頃に初めて行った総合書店だった（少し時代は下るが、1980年代の新宿の本屋事情を伝えるものとして、『本屋さんか』というミニコミ誌があった。最近創刊30周年を機に復刻）。店舗の規模も店の方向性も違うが、今も昔も、人が集まる本屋さんがあって、ていねいに売り場を作り、本の魅力を発信する書店員さんがいた。

 STORY STORYが、カフェや雑貨、イベントに魅かれたお客様が、本を手にとってもらえるような心地よい空間に育つように、地元出身者として、カフェ好き・本屋好きとして、これからも応援していきたい。