最近、カフェを併設し、雑貨や文具を扱う本屋さんが増えている。最近の取材でも、銀座・教文館谷島屋浜松本店紀伊國屋書店武蔵小杉店文苑堂書店福田本店が、カフェ併設店舗である。本屋さんと同じくらいカフェが好きだ。文庫本を買って、カフェでくつろいでパラパラとページを繰るのは至福の楽しみである。

 神奈川県を中心に展開する書店チェーン有隣堂が、この4月に新宿西口にカフェや雑貨を含む複合型店舗を出店した。有隣堂と、小田急百貨店、楽天、リーディングスタイルの4社のコラボによる新業態店舗としても話題にもなっている。カフェ好き・本屋好きとして気になるこの店、STORY STORYに取材にうかがった。

本、カフェ、キッズ、雑貨の4ジャンルを示す、STORY STORY正面のオブジェ。
雑貨と本を併売。

 文具や雑貨を扱う本屋さんは多い。雑貨の仕入の経験もある店長の前原尚さんによると、関連陳列として、本と関連の商品を並べることもさほどハードルは高くない。STORY STORYでは、もうちょっと踏み込んだ提案をしたいのだという。陳列されている本と雑貨がバラバラに存在するのでなく、一緒に並んでいることで作られる世界(ライフスタイル)に、お客様が自分なりの物語を描けるようになるのが理想。店が提示する「物語」と、お客様の描く「物語」が交わる場所が、STORY STORYなのだ。

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生活提案としての3時のおやつ。
コーヒーとお茶の本、コージーミステリーからゆるーいエッセイまで。

 訪問時は、1日の時間帯別の売り場を作っていた。『3時のおやつ』『リセットするヨガ』『残業ごはん』『面白くて眠れなくなる数学』……。3時のコーナーにはビスケットも置いている。

 カフェでは、小説や絵本の物語にちなんだメニューを提供している。東野圭吾さんの『流星の絆』に登場する、洋食屋アリアケのハヤシライスは、週末には女性ファンが多く食べにくるという。実際、カフェはいつも賑わっている。物語の中のメニューも、楽天で人気のスイーツもきちんとおいしい。カフェ目的で来店した方が、本に興味を持ってもらうこともできるのではないだろうか。

物語に登場するメニューはカフェで提供している。『ランチのアッコちゃん』の「東京ポトフ」、しっかり野菜をいただきました。

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