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佐々木朗希よ、新沼謙治氏を超える東北のスターとなれ!

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/12/08
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 名前を聞いてハッとした。確かにそうだ。NHK紅白歌合戦にも出場する日本を代表する演歌歌手で会場のホテルに向かう途中にも「新沼謙治のふるさと」と大きな看板が立っていた。東北のスターだ。多くの報道陣を集め、フラッシュの嵐にさらされたとはいえ、まだプロの世界でなんの実績もないこれから道を歩む若者。この初老の店員からしてみればただの18歳の青年なのだろう。本人が会見で「沢村賞を目指す」と目標を掲げたようにこれから一つ一つ結果を出すことできっとこの人からも誇られる存在となるのだ。

今はまだ18歳の青年 ©梶原紀章

いつの日か「大船渡と言えば佐々木」と言ってもらえるように

 佐々木は会見で力強く言った。「岩手の人にはこれまで応援していただいたので、その分の恩返しができるように活躍がしたいです」。今ではない。地元で胸を張れるのはプロで活躍をして恩返しとなるような明るいニュースを届けた時なのだ。

 千葉ロッテマリーンズの一行は契約と会見を無事に終えた事で自分たちが少しばかり浮足立っていた事を反省し、店を出た。そして誓った。この令和の怪物と言われるダイヤの原石にしっかりとした環境を提供し、全面バックアップしながら育てて、あの契約会見場から徒歩5分圏内にある焼き肉店の店員に「大船渡と言えば佐々木君でしょ!」といつの日か言ってもらえるようにしたいと。

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 空を見上げた。東北の空は澄んでいた。星が綺麗に輝いていた。ちなみにあの店員からもらった領収書には「新沼」とハンコが推されていた。「ああ、この初老の店員さんは新沼謙治さんと同じ、名字なのかあ……」。スカウトの柳沼はポツリとつぶやいた。吐く息は白かった。

梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

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