面接で言ってはいけないこと
今回、友人に特に聞きたかったのは「面接で何を聞かれるか」です。
これまで仕事柄、取材を通じてたくさん「聞く」機会はありましたが、自分が「話す」機会はほとんどありませんでした。就職活動の記憶なんてきれいさっぱり消え去っていますし、今回は転職活動初の面接。ネットにも色々情報はありますが、実際に採用面接をしている側から生の情報が聞きたいと思っていました。
「もし私の面接官だったら、どんなことを聞く?」
私の職務経歴書や志望動機、自己PRを見ながら友人は答えました。
「どんなとき仕事が楽しいと思った?」
え、そんなこと聞かれるんだ。仕事の中身とか、実務的なことは考えていましたが、予想していなかった質問に、しばし沈黙。
「……やっぱり、記事を通して世の中に問題提起して、改善が図られたときとか? あと、色んな人に会って、知的好奇心が満たされたときかな?」
自分の回答に自信がないので、無意識のうちに疑問形になってしまいます。
「何で記者になろうと思ったの?」
「入社前と、退職後の空白期間は?」
友人が次々に繰り出す質問に、しどろもどろになりながらも、必死で答えます。
「退職理由は?」
「いっぱいあるけど、当たり障りないのは体力的にきつかったから」
「はい、アウト」
え、もう・・・・・・。
「それ、絶対言っちゃダメ。体力ないヤツ欲しい企業なんてない」
私も必死に言い返します。
「いや、でもこの体力的にきついってのは、当直とか、山の中で夜を明かすとか、本当に過酷な勤務についてで……」
「関係ない」
ネットではブラック企業に勤めていた人が、正直に劣悪な労働環境を告白して内定をもらったという体験談も読んだのですが、どうもそれはイレギュラーなケースのようです。あぶなかった。正直「体力的にきつい」は、当たり障りのない退職理由だと思っていました。世間知らずすぎました。本番では「短期留学のために」と言うことにします。
「社内で活躍している人の共通項」を聞け
そのほかに、友人は、こちらから企業にする質問も重要なのだと教えてくれました。
「キヨシマだったらどんな質問をする?」
「そうだなぁ。まず、今後の企業の方向性が聞きたい」
「取材みたいじゃん、いいけどさ」
友人のツッコミが入ります。いちばんに聞きたいことだったんですが、これは質問の後半に持って行くことにしました。あとは思いついた順番に答えていきます。
・エージェントに言われた『求める人材像』をスキル、人柄にわけて聞く
・1日の仕事の流れと、長期スパンでの仕事の流れ
・チームで仕事をするときに、どんなマネジメントが求められるか
・現在の会社の課題と、どう対応しているか
「こんなところかな?」
「まあ、大体いいと思うけど『社内で活躍している人の共通項』を聞くといいよ。どういう人材求めているかと、会社のカラーもわかるし」
なるほど。求める人材像と近いようですが、確かにこれは面白い質問です。ここで、活躍している人として自分と全然違うキャラクターの人が挙がるようであれば、その企業は自分の価値観とそぐわないことが自ずとわかります。
私は感謝の言葉を述べて、友人と別れました。
「ありのままの自分」で面接に臨んでいたら、瞬殺されていたに違いありません。よかった、採用の現場を知る友人がいて。私の面接力は低すぎる。もっと対策を練ろう。気づけば、あれほど億劫だった面接対策に、前向きになっている自分がいました。
キヨシマの転職活動メモ
一、体力的にきつかったから辞めましたって、ホントのことでも言っちゃダメ
※この連載は、新聞記者として5年働いたキヨシマによる、「脱力系」転職活動記です。書かれていることは全て現在進行形のノンフィクションです。