志望動機が書けません

 エージェント曰く、最も就職が難しいというDeNAより難関のベンチャーに挑むことになり、私は志望動機と、面接の準備を始めました(当時は、まだWELQ問題の発覚前でした)。

 学生のとき、私は志望動機に大変苦しめられました。マスコミならまだ「この会社に入ってこれがしたい!」という具体的な動機が書けましたが、それ以外の業種では、書き進めても、冷めたもう一人の自分がツッコミを入れて、なかなか終わらないのです。

「どうせ収入と福利厚生目当てだろ。何いいこと言おうとしてるんだよ」

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「本当はこの会社に全然興味ないくせに」

 結局、心の底から行きたいと思っていなかったんでしょう。転職を始めた今だって、一社目のベンチャーは、提示されたお給料に釣られて受けることにしたくらいです。「志望動機」を書く心理的なハードルは高い。でも、自分で自分を奮い立たせます。

採用面接は「プロレス」みたい

 就職(転職)活動は、企業も受ける側もそれをわかっていてそれぞれのロールプレイに徹し、美辞麗句を並べ立てる「プロレス」だと私は思っています。学生のときの私は、冷めた自分に邪魔されて、この「プロレス」の選手になり切れず、結果どこからも内定を得ることができませんでした。

 けれど、もう三十路のいい大人です。仕事をしていると必ずこの手の「プロレス」が必要になる場面があることもわかっています。職場の人間環境を円滑にするためだったり、自社の製品を販売するためだったり……。どんな仕事をするにしても、まずは「プロレス」ができないといけない。だから、企業もそれをわかっていて、面接で「プロレス」を仕掛けてくる……。社会に出てようやく、そういうふうに考えられるようになりました。

 今回も、なんとか「プロレス」をしなければいけません。幸いなことに今回は、企業が掲げている理念と自分の思いに、「世の中をよりよくしたい」という共通項を見つけることができ、なんとか志望動機を書き上げることができました。

 一部伏せていますが、こんな感じです。

【志望動機】

 新聞記者として5年間、事件事故から街ネタまで、幅広い記事を日々執筆していく中で「自分の文章で、まだ世の中に知られていない人や物事の魅力を広く社会に発信していきたい」と考えるようになりました。今、日本では、日本人のみならず、多くの外国人観光客も「コト消費」を重視しています。そうした「コト消費」を「○○事業」として重視し、さらに拡充していこうという貴社で、まだ世の中に知られていない魅力的な体験活動を紹介していきたいと思い志望しました。また、○○事業はその性質上、地方に人を呼び込むきっかけにもなると考えます。これまで人口減、若者減で元気をなくした地方をたくさん見てきました。そうした地方に、○○事業を通じて人を呼び込み、貴社が考える会社の存在理由「○○」を実現したいと思っています。

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「○○だから貴社を志望します」という書き出しで始めたほうがいい、とする就活マニュアルもありますが、この流れのままのほうが自然な気がして、あえてこのまま提出しました。

 書き方は許容範囲内だったのでしょう。書類提出の翌日には書類選考通過のお知らせがきました。

 こんなにすぐ連絡がくるとは思っていなかったのでびっくりしつつ、私は友人に急いで助けを求めました。彼女は、複数の企業で人事部門の経験があり、採用活動にも精通している、人事のプロです。転職活動初心者として、何としても教えを乞いたい人物でした。

エージェントからのアドバイス

エージェントから送られてきたアドバイス ©キヨシマ

 週末の喫茶店。友人と私は、ノートパソコンを開き、エージェントからもらったメールを読んでいました。面接に際して、エージェントからのアドバイスや注意点がかなりのボリュームできていたのです。

・自分のウリを三つ

・あなたの考える幸せとは(これを真剣に考えている会社なので)

・できるだけ早めに『どんな人材を求めているか』と聞くこと

・今年上場して忙しいので、時間を作ってもらったことに謝意を

 注意点も添えられていました。

・志望意欲の低さから見送りになったケースがある

・会話することを意識して。しっかり準備しすぎて、面接時に『目が泳いでいた』とアウトになった人もいる

 まさに、手取り足取りといった感じです。まあ、それがエージェントの仕事ですもんね。