「ちょうど創業40年を迎えた年でした。ところが、会長に就任した父と経営方針で対立し、2014年には社長を解任されてしまった。久美子氏がしたたかなのは、解任劇の数か月前から、社長復活に向けて周到な用意をしていたことでした」(経済誌記者)
大塚家には兄弟姉妹の資産管理会社『ききょう企画』という会社があり、同社は大塚家具の株の10パーセント弱を握る大株主。久美子氏は、父親側につく『ききょう企画』取締役の長男や、監査役の母親を解任するなどして、社長復活に向けた土台作りを水面下で進めていた。そして翌年、大塚家具の取締役会で、再び社長に返り咲いた。
「その後も、父娘の“お家騒動”は尾を引き、2016年には会社を追われた父親が家具製造販売会社『匠大塚』を開業。大塚家具で最も大型の店舗がある埼玉県春日部市内に出店するなど、対立は激化していました」(同前)
海外進出にネット販売、さまざまな試みをぶち上げるが……
その久美子社長率いる新生・大塚家具は、「本格的に海外に出ていく」とぶち上げたかと思えば、インターネット販売に投資するとも表明。かつても高級路線から中級路線にシフトし、気軽に立ち寄れる店舗へ舵を切るなど、さまざまな試みをしてきた。
ところが経営は悪化の一途をたどり、先月14日に発表された第三四半期の決算では、純損益が30億6200万円の赤字。売上高は5年連続の減収、営業赤字は6年連続という悲惨な状況が明らかになった。
「社長は、決算が発表されると、これまで以上にピリピリしたオーラを出していて、周囲も話しかけにくかった」(同社社員)
といい、決算が発表された後、冒頭のメールを関係者に送信していたのだ。
担当者欄に久美子社長の名が
<ご利用につきましては、事前に私もしくは、下記秘書宛にご一報いただければ幸いです>
<朝夕の冷え込みが厳しい折柄、どうぞご自愛くださいませ>
メールは、こんな風に締めくくられており、“ファミリーセールの案内状”の「担当者欄」には、久美子社長の名前が記されていた。
久美子社長は、会見で「引き続き全力を尽くしていきたい」と社長続投の意向を表明した。しかし、経営者としての前途は多難だ。