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その先にある“支配・搾取・疎外”の社会
観客はいったいどんな感想を持つだろうか。株主から預かっている資金や銀行から借りたお金をあたかも自分のもののように、ごく少人数で、しかも1兆ドル単位で動かす様子は、この世のものとは思えないだろう。年金の運用にソフトバンクの株や債券を買った人や、これらの企業に大金を貸し込んでいるメガバンクの預金者に対して、「皆さんのお金をこの人たちに託して大丈夫ですか?」と問いかけるならば、そこに一番の意義が生まれるかもしれない。
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筆者は「文藝春秋」1月号および「文藝春秋 電子版」に「ウィー事件」の顛末に関する記事「孫正義はバブルに飲み込まれた」を寄稿したが、最も懸念することは巨額の資金やAIという単語を振り回す人々の心のあり方だ。
「ウィー事件」を見ていると、人類は幸福になるどころか、大多数の人がほんの少数の人の巨大なエゴに振り回されていることに気づく。その先には、人々が支配・搾取・疎外される社会が来るかもしれない。そう思うと恐怖に慄く。
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孫正義はバブルに飲み込まれた
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