一方で日本政府は、徴用工判決については徹底抗戦の構えだ。
「朝日新聞が報じたところによると、日本政府は現金化が実施された場合、国際司法裁判所(ICJ)への提訴と韓国政府への賠償請求を検討しているというのです。現金化が行われればホワイト国問題に続いて、日韓政府は泥沼の報復合戦に突入するということなのです」(同前)
反日運動家の陰でうごめく新しい動き
あたかも10月30日は反日一色であるかのように、日本メディアでは報道された。しかし、その陰では実は新しい動きも起きていた。韓国人被害者たちが、反日運動家や韓国政府に対して反撃を始めたのだ。
反日運動の象徴となっているソウルの日本大使館前。徴用工判決から1周年の10月30日は、計らずとも水曜日だった。それは反日市民団体である挺対協(現・『日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯』代表・尹美香ユン・ミヒャン)が主催する水曜デモが行われる日だった。
挺対協が記者会見を行う1時間前、これに先立ち「アジア太平洋戦争犠牲者韓国遺族会」など強制徴用の被害者や遺族、支援者らでつくる連合団体が日本大使館前で記者会見を開いた。そして徴用工など被害者への賠償問題の解決を訴えた。
彼らはこう切実な実情を訴えた。
「大法院判決によって韓日両国が平和的に問題を解決すると期待して待ったが、両国政府が解決の努力より政治的手段としてのみ利用している。徴用工被害者の個人請求権の補償は韓国政府の(負うべき)責任が大きいと考えます」
つまり彼らは、まず韓国政府が被害者や遺族らに対して先に補償すべきだと主張したのだ。その考えの背景には日韓条約を遵守したいという思いがある。そして、被害者を中心とした財団を設立することなどを韓国政府などに要求した。
日本叩きで困るのは高齢の被害者たちだ
会見に出席した「アジア太平洋戦争犠牲者韓国遺族会」の崔容相・事務局長が語る。
「徴用工問題にしても、慰安婦問題にしても解決を妨げているのは(反日)市民活動家であり、韓国政府なのです。私たち被害者、遺族を無視して、日本叩きばかりを行っている。いま本当に困っているのは、日韓関係が悪化して解決の途が見えなくなっている被害者・遺族です。市民活動家に牛耳られてしまった徴用工問題や賠償問題を、本当の被害者たちのための活動に戻さなくてはいけない。そのために私たちは市民活動家たちと闘うことを決意したのです」
崔氏らは300人の被害者・遺族を集め「まず韓国政府が補償すべきだ!」という声を上げたのだ。