普段あまり新聞を読まない妻が「今日の新聞ある?」と尋ねてくる機会が最近増えた。
「そうか、森友学園ネタの読み比べの面白さに遂に気づいたのだな」と言おうとしたらそうではなく「広告が見たい」のだという。
「アンキパンの秘密」を読みながら、なるほどやっぱり広告である
最初は「2月21日」だった。
朝日新聞に小沢健二の「19年ぶり新作シングル本日発売」という全面広告が載っているらしい。探してみると商品広告のイメージとはちがう、文字がぎっしりの読み物がそこにあった。妻曰くSNSで話題だから自分の目で確認したくなったと。
小沢健二の広告は、大きなニュースのように「言葉は都市を変えてゆく」と白抜きの見出しがデンとあった。「アンキパンの秘密」という小見出しもある。
《アメリカに食パンはない。というか、食パンは日本の特産品で、しかも輸出は不可能。》
この出だしからはじまっていた。
食パンは「生もの」だから、食パン工場が近くにない限り生食パンのふわふわは味わえないと。
《食パンは、おそらく僕の思う「クール・ジャパン」の最高峰近くにある。》
「文字が転写できるくらい」キメが微細モチモチふわふわパンをつくってしまう「不思議な進化を遂げた島」。
このあと「パン屋という表記が和菓子屋に変更」という道徳の教科書が話題になったけど、その騒動が起こるのを見透かしたようなパンの痛快な話。
ふと見ると、読み物の横には「流動体について」というタイトルで「小沢健二の新歌詞」が書いてあった。なるほどやっぱり広告である。新聞を妻に渡すつもりがついつい読み入ってしまった。