ゆずのメッセージ広告と「逆プレミア感」
次に妻が新聞を探しにきたのが「3月20日」。この日は「朝日と読売ある?」
ゆずの北川悠仁と岩沢厚治が「朝日」と「読売」でそれぞれへのメッセージを送っているという。この広告がまたしても話題だと。
果たして、ゆずがそれぞれの新聞で1人ずつ、紙面いっぱいに大きく顔が載っていた。これは目立つ。そしてメッセージも。
「朝日」。
《ゆずは二人で向き合うことはない。ずっと二人で前を向いているから。隣にいることが自然。伊勢佐木町の路上で歌っていた あの頃からずっと。――ゆず 北川悠仁》
「読売」。
《僕が一人で路上ライブをしていた時、「一緒にやろうぜ」と言われた時のことはよく覚えている。一人より二人の方が面白そうだし、心強いし。夜の街は怖いから。――ゆず 岩沢厚治》
ファンなら絶対に両紙買うだろうし、熱心なファンでなくても噂を聞きつけたら紙面を見たくなるだろう。
そういえば小沢健二の広告のときも「キオスクへ買いに行った」とか「新聞を久しぶりに読んだ」という感想がSNSで多くみられた。このために新聞を購入している人がいるのだ。しかも、ずいぶん。
今回興味深いと思ったのは「逆プレミア感」である。
新聞の全面広告という豪華さだけでなく、発行部数が減り続けている新聞に載せるという意味が効いているのである。思わず希少価値が発生したのだ。現物を見たいなら探しにいくしかない。
一方、新聞に全面広告を載せる側のプレミア感は相変わらず感じた。小沢健二もゆずも必死に宣伝しなくてもいい人たちである。実際そういうつくりの紙面だった。だから逆に「読ませる」のである。
「逃げ恥広告が載っている新聞を全部購入してきた」
新聞広告を、今度は私が探す番がきた。
「3月28日」。火曜日。
新聞をめくっていたら、「火曜はハグの日」というコピーが目に飛び込んできた。TBS系ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」のDVDが翌日に発売されるという広告だ。
すると、朝日、読売、毎日、日経の一般紙4紙にデザインがそれぞれ違うものが掲載されているという情報がSNSを通じて伝わってきた。
さっそく探した。コピーは同じだが、写真はドラマの各話のシーンが大きく掲載されていた。
《インターネット上では「また見たくなってきた」「感動。切り抜いて置いておこう」「全部何話のハグかすぐわかってしまう」など同作ファンから歓喜の声。また「早速全部買ってきた!」「逃げ恥広告が載っている新聞を全部購入してきた」と“コンプリート”を報告する声も上がった。》(スポニチ3月28日)
あのドラマにハマった人たちは、かなりの高い確率で紙面を追い求めただろう。私もそうだった。
「希少価値」である新聞の広告に今後も注目です。