AKB48の小嶋陽菜が、29歳の誕生日であるきょう4月19日、東京・秋葉原のAKB48劇場での公演をもってグループを卒業する。

 「こじはる」の愛称で知られる小嶋は、2005年に結成されたAKB48の1期生。ドラマやCMに出演したり、女性誌でモデルを務めたりと、早くから単独での活動も多く、グループを世間に周知させるのに果たした役割は大きい。全体としてスポ根的な性格の強いAKB48にあって、いい意味で力の抜けた小嶋は異彩を放っていた。

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 グループがブレイクしたあと、年を追うごとに初期からのメンバーが卒業していくなかで、彼女にも何度となく卒業の噂が持ち上がり、そのたびに本人が否定してきた。

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 印象深いのは、2014年6月の「選抜総選挙」の開票イベントでのスピーチだ。このとき8位に入った小嶋は「AKB人生に悔いはない」と切り出し、卒業か!? と一瞬思わせておいて、「私、小嶋陽菜はここで……卒業発表しようと思いましたが、しませーん(笑)」と宣言してファンを安堵させた。なお、その理由について本人は「先日、AKBにとって色々なことがありました。私はもうちょっとだけここにいて、私にできることをやろうと思いました」と説明している。「色々なこと」のなかには、その少し前に起こったAKB48の握手会でのメンバー襲撃事件も含まれていたことはあきらかだ。おっとり屋の小嶋が彼女なりに決意を表明したことに、あらためて事の重大さを感じたのを思い出す。

 自分からぐいぐい引っ張っていくタイプではけっしてないが、ほかのメンバーから慕われる存在であった。同期の高橋みなみに「小嶋陽菜は私たちのオアシスなんだよ」と言わしめた(『小嶋陽菜1st フォトブック こじはる』講談社)。先の「総選挙」でのスピーチも、そんな自分のグループ内での役割を意識してのものだったはずだ。

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 その小嶋も昨年6月、ついに卒業を発表。去る2月22日には、自らのプロデュースによる卒業コンサート「こじまつり~小嶋陽菜感謝祭~」を開催した。その会場に選んだ代々木第一体育館にほど近い原宿は、小嶋がAKB48の1期生募集のポスターを見つけた、きっかけの場所だ。コンサートのラストには、最後の曲を歌い終えるや会場の外へ飛び出し、観客や共演したグループの仲間を差し置いて、モデルの仕事のためイタリア・ミラノへと出発し、最後まで彼女らしい演出でファンを楽しませた。

 今夜の卒業公演では「泣けるセットリスト」を用意しているという。選曲もさることながら、小嶋がグループでの11年あまりをどんな言葉で締めくくるかにも注目だ。