本格的な工事は「2020年に入ってから」
この蛇骨陸橋は小涌谷駅の少し手前、箱根駅伝のコースにもなっている国道1号にも近い。ふだんは木々に覆われて国道から直接線路を見ることはできないが、実際に現地に足を運ぶと木々がすべて切り払われて国道からアクセスできるルートが確保されていた。そしてすでに重機がいくつも入り、復旧工事の準備が進んでいる。
「復旧工事はできるところから手をつけています。蛇骨陸橋以外でも少しずつ工事も進んでいまして、大量の岩石が流れ込んだ大沢橋梁では線路に近い岩石はほとんど取り除いています。ただ、蛇骨陸橋も含め、本格的な工事は年明け以降になりそうですね」(菅原さん)
「箱根湯本駅のバス乗り場は長蛇の列」
そういうわけで、現在は国道1号に並行する箱根湯本から強羅までが運転を見合わせている。地元の人や観光客などは、電車が使えない代わりにバスの代行輸送を利用する。ただ、これも“代行バスがあるからまあなんとか”ともいかないようだ。地元のタクシードライバーに話を聞くと、「電車が走っていない影響は大きい」と話す。
「もう湯本駅前のバス乗り場は長蛇の列ですからね。タクシーを使ってくれる人もいるけど、強羅まで行ったら3000円以上はかかるので……。それに、今は湯本から強羅を経由せずに直接早雲山まで行ってしまう代行バスがあるでしょ。だから強羅はお客さんが減ってちょっとかわいそうかなぁ」(地元のタクシードライバー)
実際に箱根湯本駅前や強羅駅前の代行バス乗り場には外国人を中心とした観光客が長い列を作っていた。湯本駅前の列の最後尾で案内をしていた箱根登山鉄道の職員に聞くと、「次のバスには乗れないかもしれません」と返ってくる。筆者が訪れたのは観光シーズンを外れていたが、1年で最も箱根が賑わう11月は、バスに乗車するまで数台待つこともあったという。
「もともと強羅から先のケーブルカーは設備更新のための運休が予定されていました。なので現在の運休は予定通りなのですが、結果として台風被害と重なってしまった。電車だと300人くらいは乗れるのですが、バスだと貸し切りタイプで60名くらいが限界ですからね……。ご迷惑をおかけしていますが、こればかりはどうしようもなくて……」(菅原さん)