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箱根駅伝は「守り」の東海・青学、「攻め」の東洋・國學院で激戦必至

エントリーから見えてきた“戦国時代”のレース展開とは

2019/12/15

「攻め」か「守り」か――。

 12月10日の監督記者会見で発表された箱根駅伝のエントリーを見て考えたのは、そんな二項対立だ。

 優勝候補の大本命・東海大を率いる両角速監督は、レースプランをこう語っていた。

「基本的には(8区で先頭を逆転した)前回大会同様の展開にできると良いかなと思っています。区間配置もそれに準ずるものになるかなと。前半から主導権を握って……というイメージではないですね。往路は3位以内が目標です」

全日本大学駅伝でも優勝を果たした東海大の両角速監督 ©文藝春秋

「アンカー勝負になることも覚悟している」

 極端な言い回しにはなるが、今季の東海大は「守り」のレースを打つことができる。

 絶好調のスーパーエースがいるわけではない。だが、全員がエース級の走力を持ち、圧倒的な選手層の厚さを持つからだ。

 往路を「3位以内」で終えればよいという余裕を持てるというのは、チームとしてはアドバンテージだろう。区間エントリーも往路偏重ということはなく、バランス良く配置してくることになるはずだ。「前回大会同様の展開にしたい」という言葉を信じるならば、復路の7区に阪口竜平、8区に小松陽平という4年生の“黄金世代”を置いてくることになる。両角監督は「アンカー勝負になることも覚悟している」とも語っており、逆にそこまで先頭付近でいけば東海大のシナリオ通りということだろう。

全日本大学駅伝では4区で区間賞だった西田壮志(3年) ©文藝春秋

 唯一の懸念は昨季まで3年連続で山下りを務めた中島怜利(4年)がエントリーから外れたこと。故障から調子を上げきれなかったことが理由だが、そこに関しても「基本的な走力があってのことなので」(両角監督)と強気を見せている。誰を起用するにせよ、6区で差をつけるというよりは大崩れせず走ってくれれば他区間で取り返せるという静かな自信が垣間見えた。

選手層が厚ければ往路で勝つ必要はない

 箱根駅伝で総合優勝を狙うには、攻めのレースをするのか、それとも守りのレースをするべきか――。

 どちらを取るかは各チームの状況によって変わってくる。それだけに、各チームのエントリーを眺めることで、その戦略が端々にみえてくる。

 東海大のように選手層の厚いチームは、復路までを見据え、10区間が終わったところで先頭にいれば良いという「守り」の戦略が取れる。なにもリスクを冒して往路で勝つ必要はなく、芦ノ湖では先頭を射程圏に捉えて終われればいい。