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26年ぶり箱根駅伝 “主力10人離脱”の筑波大を変えた「週5のミーティング」

医学群ランナーも……一般入試組とスポーツ推薦組はいかに融合したか

2019/11/01

「全国制覇を成し遂げたいのなら、もはや何が起きようと揺らぐことのない――断固たる決意が必要なんだ」

 日本が誇るスポーツ漫画のバイブルの中で、某バスケ部の監督はこんな言葉を伝えていた。良い言葉だと思う一方で、若かりし頃感じたのは「結局、それって精神論じゃん」という一抹の思いだ。

 決意を新たにするだけで勝てるなら、誰だってそうする。でも、現実は漫画ほど単純にはできていないのだ。

 近年、各競技で練習方法の合理化が進み、理不尽なトレーニングがなりを潜めるなかで、そういった精神論を排除する空気はますます大きくなっているように感じる。

 ただ、時にそれ以外に理由を見つけられない出来事がおきるのがスポーツだ。

弘山監督「マスコミには全然注目されていなかった」

 10月26日に行われた箱根駅伝予選会で、26年ぶりの本戦出場を決めた筑波大学の躍進は、まさにその「決意と覚悟」が生んだものだった。昨年の17位から6位へのジャンプアップは、多くのファンやメディアを驚かせた。

 予選会通過を決めると、弘山勉監督は顔をほころばせた。

「練習もできて、調整もほぼ完ぺきにできたので、たぶん通るなとは思っていたんですよね。でも、目標としていたのはとにかく力を出し切ること。力を出し切って、その結果通用するのか、しないのかということです。全部が上手く行ったら6位くらいになるんじゃないかなというのは思っていたんですけど。マスコミには全然注目されていなかったので、絶対に通ってやろうと思っていました(笑)」

26年ぶりの箱根駅伝出場が決まり、選手らに胴上げされる筑波大の弘山勉監督 ©時事通信社

 そんな冗談が口をついたように、予選会前の筑波大の下馬評は決して高くなかった。

 それにはもちろん理由がある。

 今季は春先からチーム全体の調子が上がらず、6月には3年ぶりに全日本大学駅伝の関東地区予選会への出場も逃した。この予選会への参加条件は、部員の10000mの上位8名の記録平均で上位20チーム(シード校を除く)に入ることであり、そこにすら入れないということは、箱根駅伝を目指す上でかなり厳しい状況にあった。