記録が良い方から10人の選手を順当にエントリー
近年の帝京大は典型的な「守り」のチーム。大エースはいないものの、ハーフマラソンではエントリー選手のほとんどが好記録をもっており、安定感が非常に高い。
そこに今季は5000m、1万mなどトラックでのタイムもついてきている。
「今季は初めて1万mの記録が良い方から10人の選手を順当にエントリーすることができました。通常、故障や不調などで何人かは外れてしまいがちなんですが、順調に来ていますね。『5強』にウチは入っていないですが、5校のうちの一角だけでも崩して……いや、二角、三角、四角、五角と崩していきたいですね」
チームを率いる中野孝行監督はそう自信を見せる。出雲駅伝、全日本大学駅伝では少しピーキングのズレが見られただけに、箱根本戦にしっかり調子を合わせられれば一気に上位校を食って、初の総合優勝までも見えてくる。
出雲駅伝の5区で区間賞を獲った小野寺悠と昨季箱根駅伝10区区間賞の星岳の3年生コンビが今季も好調。他にも岩佐壱誠や島貫温太、平田幸四郎といった1万mで28分台を持つ実績十分の4年生が大量に控えており、復路にもエース級のランナーがガンガン登場する。
実は昨季の帝京大は1区、2区、5区という往路の主要区間でいずれも区間2ケタ順位に沈み、流れをつかみきれなかったにも関わらず、終わってみれば5位に食い込んでいた。今季こそ往路で大崩れせずに先頭をうかがえる位置で復路に入れれば……「守り」のチームの本領発揮となるだろう。
有力校であっても一気にシード争いにまで後退も
箱根駅伝本番まで、残された期間はあと約2週間。ここからは体調やコンディションなど、いかに選手を万全の状態でスタートラインに立たせられるかに、各チーム注意を払うことになる。
区間エントリーの発表となる12月29日に、本来攻めるべきチームが守りのエントリーを組んでいたり、守れるはずのチームが攻めるエントリーをせざるを得ない時は、なんらかのアクシデントが起きた可能性が高い。そうなると、今季の戦国駅伝では総合優勝が遠ざかっていくばかりか、有力校であっても一気にシード争いにまで後退していく。
年明けの箱根路に向けて、万全の配置を組めるのはどこのチームか――。いずれにせよハイレベルな「攻守」の攻防を期待したいところだ。