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青学も「往路は10位でも良いと思っている」

 一方で「攻め」のレースをするべき大学は、選手層に不安がある一方で、ここぞというところで差をつけられるエースを擁する。これらの大学はエースの力で後続を突き放し、往路をトップ付近で終え、その勢いで復路のランナーに繋ぐ。先導車という風よけがあり、最初からハイペースで突っ込む必要がない先頭ランナーはオーバーペースになりにくく、優位にレースを運べる。俗にいう「先頭効果」で、復路に多少力の落ちる選手を起用しても往路で逃げていれば十分勝てるという算段になる。

12月10日の監督記者会見でマイクを握る青学の原晋監督 ©時事通信社

 そんな要素で各校をみていくと、東海大以外にもう一校、「守り」のレースが可能なのが青学大だ。今季はここまで駅伝で勝負できず、低評価が続いていたが11月末の記録会の1万mでは28分台を8人がマークするなど、1万mのエントリー選手上位10人の平均タイムでは全体トップに躍り出た。

 原晋監督も総合力には自信を持つ。

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「極端な話、往路は10位でも良いと思っているんです。順位よりも先頭とのタイム差が重要。先頭から1分以内で往路を終えられれば面白いレースが見せられると思います」

 そんな青学大の課題は「山」につきる。5区の経験者である竹石尚人(4年)が調子を上げられずエントリー漏れ。4年生のスピードランナーである谷野航平が第一候補となっていると思われる下りの6区も経験者がおらず、山区間の走りが読めないのが怖いところだ。逆にここを凌げれば、名将・原監督の手腕次第で「復路の青学」の本領発揮が見られるかもしれない。

前回大会ではアンカーを務めた青学・鈴木塁人(4年) ©文藝春秋

「往路で優勝して主導権を取ることで流れをつくる」

 一方で「攻め」のレースをするであろうチームの代表は東洋大。

 酒井俊幸監督はその甘いマスクとは対照的に、常に攻撃的に、優勝を狙う区間配置をしてくる。今年もその姿勢は変わらない。

「総合優勝を狙うとなると、今年は少し層が薄い。だからこそ往路で優勝して主導権を取ることで流れをつくって、復路に持っていきたいんです」

 そんな風にレースプランを語っており、序盤から攻勢を仕掛けてくることは間違いない。

東洋復活のキーマンとなる相澤晃(4年) ©文藝春秋

 カギになるのが今季学生最強ランナーである相澤晃(4年)の起用法だ。エース区間の“花の2区”への配置が王道なのだが、実は各校のエース級がやって来る2区は差が付きにくい。今季の東洋大は1年生が6人も入ったエントリーで、ルーキーが箱根路に初登場する可能性も高い。それだけに酒井監督の性格を考えると、大エースで後続にしっかり差をつけるために、昨季区間新記録を打ち立て、区間2位に実に2分近い差をつけた4区への起用が濃厚なのではないか。全日本、出雲を鑑みた時に、同じ4年生の定方駿が2区を凌げる力をつけたことも大きい。

 山は5区、6区ともに経験者が控え、特に下りには今西駿介(4年)という大砲がいるだけに、往路をトップで終えることができればかなり有利にレースを進められるだろう。往路終了時点で2分程度の差がついていれば、東洋大の総合優勝の可能性が高まる。