日本人にとっての新年の風物詩のひとつ、箱根駅伝。2020年も1月2・3日の両日に行われる予定で、今から楽しみにしている向きも多いだろう。箱根駅伝の見所は門外漢が語るのも憚られるほどに多岐に渡るが、そのひとつが“小涌谷踏切”だ。箱根路の山登りの途上、箱根登山鉄道の小涌谷駅近くの踏切。普段はもちろん電車が優先で、遮断機が下りれば歩行者やクルマはしばし待たされる。けれど箱根駅伝でランナーが通過するときだけは別。踏切の手前で電車が一時停止をしてランナーたちの通過を待つこともある。まさに箱根駅伝でしか見ることのできない光景である。
小涌谷踏切に電車はやってこない
ところが、2020年の箱根駅伝ではこのシーンは見られない。いや、もちろんランナーは小涌谷踏切を通るのだが、いつもと違うのは小涌谷踏切には決して電車がやってこない、ということだ。今年10月に日本列島を襲った台風19号。その影響で、箱根登山鉄道は長期にわたって運休中なのである。
「台風19号で箱根湯本~強羅間の全線にわたって被害がありました。特に大きかったのが大量の岩石が流入した大沢橋梁と斜面崩落で橋桁と橋脚が流出した蛇骨陸橋。そのため長期にわたって運転ができない状況が続いています」
こう話してくれたのは箱根登山鉄道総務部の菅原隆さん。菅原さんによれば、運転再開の見込みは2020年秋頃。つまり、箱根駅伝はもちろん来年のゴールデンウィークも箱根登山の電車は走らない。これだけ甚大な被害が出た台風19号襲来当時を振り返ってもらった。