まずはじめに松井稼頭央様、スイッチヒッターとして史上初の2000本安打&200本塁打の達成、誠におめでとうございます! バンザーイ! バンザーイ! バンザーイ!

 決して大きいとは言えない身体で200本ものホームランを放つまでにはきっと誰も知らない悔し涙とたゆまぬ努力があったのだと思います。これからもイーグルスの為になんて言いません。普段どおりチームにいて活動するあなたの背中が、生き様が若手選手の手本となるのですっ。今シーズンもまだ始まったばかり、大活躍期待しております!

 そして先日の2試合連続延長12回までもつれこみ一点差で敗れるという、体力も心も削られる試合は、楽天ファンに昨シーズン5月14、15日のロッテ戦、12対13、8対9の2試合連続延長戦の末に一点差で敗れた試合を思い出させ、そこからの泥沼の9連敗を連想させてしまっていた。

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 しかーし! 松井稼頭央選手が200号ホームランを放ち、それを祝うかのように先発全員安打でホークスを圧倒し11対2で勝利! 今年のイーグルスは明らかに違いますっ!

6、7、8回の失点が順位を決める

 さて、それでは現在単独首位にいる最大の要因はなんなのかを少し考えてみようと思う。岸孝之投手のインフルエンザにも関わらず、しっかり開幕戦を勝利に導き、22日のソフトバンク戦では楽天の先発投手初完投で3勝目をあげた美馬学投手の働きはそれに値するだろうし、攻撃陣ではここまでパ・リーグ本塁打王のペゲーロ選手や2年目のジンクスなど微塵も感じさせない働きをみせる茂木栄五郎選手の活躍も大きな要因であることは間違いない。しかしながら僕は最大の要因は? と聞かれれば中継ぎ陣の活躍だと答えるだろう。

 中継ぎといえばなぜか抑えて当たり前、点を取られようものならそのピッチャーの試合を壊した感は先発投手よりも大きいように思われがちである(そもそも先発投手が点をとられた為出てきていても)。

 では中継ぎの成績は順位にどのくらいかかわってくるのか昨シーズンの数字で調べてみた。中継ぎが出てくる事が多い6、7、8回の失点の合計をパ・リーグ6球団で少ない順番に並べたものだ。

1位 日本ハム 151点
2位 ソフトバンク 189点
3位 ロッテ 194点
4位 埼玉西武 216点
5位 オリックス 217点
6位 東北楽天 238点

 オリックスと楽天が逆なだけで、あとは全て順位どおりになった。

 ちなみにクローザーが投げるであろう9回を見てもほぼ同じようになると思いきや、失点の少ない順に並べると、

1位 日本ハム 36点
2位 西武 39点
3位 オリックス 40点
3位 楽天 40点
5位 ロッテ 42点
6位 ソフトバンク 43点

 と首位の日本ハム以外は順位とは全く違ったものになった。

 先発投手が投げきることもあるので、もちろん全てではないが、この数字からも中継ぎ投手の成績がチームに及ぼす影響の大きさがわかるし、6、7、8回の失点が順位に直結することも証明された。

“魔の7回”を変えた注目のルーキー

 そこで昨シーズン、オリックスよりも多い楽天の238失点の原因はどこにあるのかを調べてみた。答えは7回にあった。楽天は7回に100失点もしているではないか。6球団の全てのイニングを見ても3桁なんて数字はどこにもない。

 ちなみに7回の失点を少ない順に並べると次のとおりである。

1位 日本ハム 52点
2位 オリックス 56点
3位 ソフトバンク 61点
4位 ロッテ 67点
5位 西武 75点
6位 楽天 100点

 5位西武より25点も多いダントツの最下位……。逆に言えば現在首位という事はこの7回をなんとかできているからではないだろうか? 今シーズン17試合を終えた楽天の7回の失点を調べた。

 なんとたったの3点。これを143試合で計算すると25点くらいになる。昨年1位の日本ハムが52点だから、どれだけ凄い数字かわかるだろう。

 そして現在、勝利の方程式でその7回を託されているのが森原康平投手という新日鉄住金広畑からドラフト5位入団した新人投手なのだが、皆さんはご存知だろうか?

4月9日ロッテ戦で力投する森原 ©時事通信社

入場曲は浜崎あゆみの名曲「Boys & Girls」

 新人の開幕から10試合連続無失点のプロ野球タイ記録を樹立した、今最も注目を集めている投手である。僕が倉敷のオープン戦で森原投手の球を観て一番びっくりした点は腕の振り以上に球がくる違和感だ。この違和感はプロのバッターを手こずらせるのではと期待はしていたものの、ここまでやってくれるとは……。本当に頼もしい投手である。

 さらに驚かされるのが森原投手以外に中継ぎの屋台骨を支えている高梨雄平投手、ハーマン投手、菅原秀投手も今シーズンからの新人投手であり、こんなに大事な場所にこんなにも新人選手が集まる球団も楽天くらいだろう。

 ちなみにそんな森原投手は小学5年生から浜崎あゆみさんの大ファンで、入寮時にはDVD3枚に大学時代に広島のコンサートで買ったヒョウ柄のタオルも持参したほど。声が大好きとあってもちろんマウンドに向かう時の入場曲も浜崎あゆみさんの名曲「Boys & Girls」。

輝き出した僕達を誰が止めることなどできるだろう♪

 この初々しい中継ぎの活躍があるかぎり、森原投手が7回を制するかぎり、楽天の大躍進は止まらない。

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※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。

対戦中:VS 北海道日本ハムファイターズ(えのきどいちろう)

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