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 中西氏が「韓国の暴走」を引き起こした原因として挙げるのが、「国際政治におけるパワーバランスの大きな変化」。特に、日韓関係から透けて見えてきた「アメリカの弱体化」について、次のように指摘する。

「2019年11月下旬の日韓GSOMIA延長をめぐる米韓の交渉は、近年のアメリカ外交でも類を見ないくらいの強引さでした。アメリカは、世界中が見ている前で、力尽くで何とか韓国をねじ伏せ延長させた。しかし、これはアメリカ自身が追い詰められた末の、『窮余の一策』としてのゴリ押しだったと言ってよいでしょう。

 実は、8月のGSOMIA破棄決定の寸前まで、アメリカの政府中枢では意思決定が空転していたのは間違いありません。あのままでは、韓国にも中国からの影響が一段と強まる一方だったのに、アメリカはリーダーシップを取れなかった。アメリカの覇権の弱体化をまざまざと白日の下に晒す出来事でした。朝鮮半島をめぐる米、中の綱引きは今後も一層、強まるでしょう」

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今年大統領選を迎えるトランプ米大統領 ©AFLO

“裸の王様”の中国は「10年もたない」

 韓国と並んで、2020年の日本に大きな影響を与えそうなのが中国。中西氏が注目するのは、習近平というリーダーのリスク。指導者としての資質に欠ける習近平の元で、ここまで経済成長で包み隠されてきた中国の抱える矛盾が噴出するのではないかと言うのだ。

「これまで急激な成長を続けてきた中国ですが、私は、2020年代は『大きな曲がり角』を迎えると考えています。2019年の中国の外交をみていると、『この体制では中国はもう10年ももたない』と考えざるを得ないからです。習近平を中心とする指導部はすでに“裸の王様”で、国家意思の漂流が始まっている」

習近平は“裸の王様”? ©AFLO

 習近平政権は、香港の大規模デモへの対応でも失敗し、アメリカとの貿易交渉でも“失点続き”だった。

「これらの経緯を見ると、今の習近平政権が目の前で起きていることの意味がうまく理解できず、つねに状況判断が後手になって事態を必要以上に悪化させていることがわかります。(略)

 習近平は、毛沢東はおろか鄧小平とさえ比すべき業績も何もない、いわば『ぽっと出』の背伸びした指導者です。その彼が『汚職撲滅』を旗印に独裁的な権力を振るって次々と政敵を捕まえ、強権的な共産主義に戻るような政治指導をしても、結局のところ無理があり、このままでは長続きしないでしょう。いつ反対勢力が、頭をもたげてきてもおかしくない状況です」

 そして、2020年代の中国の存在を、中西氏は次のように結論付けた。

「こう考えていくと、『超大国・アメリカ』を凌駕する存在として、中国が2020年代に世界の覇者として君臨するとは考えにくい」

 中西氏は、そのほかにも、インタビューの中で、トランプ弾劾とアメリカ大統領選の行方、中国が抱える経済リスク、韓国総選挙と北のミサイル、ブレグジットの今後、ドイツでの極右台頭など、2020年の世界を左右する状況を分析。さらには、安倍総理が果たすべき「世界史的使命」についても提言している。

 中西氏のインタビュー全文「《1万字でわかる2020年の地政学》『韓国・文在寅の暴走』は米中のパワーバランス崩壊が生んだ“大事件”だった!」は、「週刊文春デジタル」で公開している。

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