激しい枠争いが繰り広げられる選手弁当バトル!
そんなこんなで時計の針は12時53分を指し、売り子のお姉さんが「大人気小林選手、残り3点です!」と魂のシャウト。打率1割台の不振に喘ぐも、さすがWBCで大活躍した世界のコバちゃん。プルコギ&彩りキンパ風弁当か……。ってキンパ風の意味はよく分からないけどなんだかモテそうな響きである。
どうやら在庫が少なくなると他の売り場から適度に補充しつつ、完全に売り切れた弁当から商品札を外していくシステムのようだ。開場から1時間以上を過ぎた13時8分、坂本、由伸、菅野の順で一時品切れ状態に。かと思えば、すかさず13時14分、坂本弁当5つ追加。直後にグラウンドでは先発バッテリー発表。試合開始45分前、この時間帯から場内も混んでくる。
13時20分には選手プロデュース弁当は残りわずか、子ども向けの“じゃびっとべんとう”1,350円も完売だ。代わりに売り場には850円のノーマルなおむすび弁当が並べられていく。そして、13時26分、あべんとうラスト1つも売れてオールソールドアウト。約1時間半に渡る、東京ドーム選手プロデュース弁当戦争も終わりを告げた。
2017年は開幕直前に小林が電撃加入するなど、ファンのニーズをダイレクトに反映させていく選手弁当ラインナップ。3年前は内海、杉内、長野らのプロデュース弁当も販売されていたが、今季は「内海哲也のチキン南蛮ライスバーガー550円」「長野久義のこだわり焼きそばパン500円」「杉内俊哉の食べチャイナ! 中華丼900円」と微妙にメインから格下げ。まさに食うか食われるか。ペナントレースの成績と同時に、この限られた枠を巡る絶対に負けられない戦いにも注目だ。
ちなみに2,000円の由伸プレミアム弁当を買って、大事そうに胸に抱えながら席に向かうご婦人にも遭遇した。優先すべきは、おかずの内容か? それとも誰かへの愛情か? そこには無数の物語があるのだろう。
選手プロデュース弁当とは、筋書きのないドラマである。
See you baseball freak……
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※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。