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「オスシヲタベタイデス」

「入ってきた時は通訳付きで身体検査をして留置場のルールを教わるのですが、興奮しているし、覚えられるものではありません。入った後に何かあれば看守(留置場では「担当官」)が逐一教えるのですが、言葉が通じないので大変そうでした。それに外国人は食べ物にせよ何にせよ、すぐに看守を呼ぶんです」(同)

 この男性が入っている時に、ポケトークが導入されたという。

 看守が最初に試したのはフランス人の高齢男性だった。ポケトークを操作して「何を食べたいですか?」と吹き込むとフランス語に変換された。1回目は通じなかったが、2回目に通じ、フランス人がフランス語を吹き込み、変換されて発せられた日本語は「オスシヲタベタイデス」だったという。

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「看守は丁寧な人が多く、外国人の面倒もよく見ていて、通じたと分かった瞬間、周囲がドッと沸きました。私がいた時、ポケトークは1台だけだったようですが、その後は1日中、あちこちでピコピコやっていました」(同)

 男性はその後千葉刑務所内の拘置所へ移送された。

©iStock.com

千葉刑務所内の拘置所にも導入

「そこにもポケトークがありました。しかし、留置場には看守が4人いて交代で留置人を見ていたのに対し、拘置所は看守の数が少ない。食事を出したり洗濯したりするのも、受刑者が拘置人の面倒を見るため、看守と拘置人の間に距離がありました。ポケトークはあまり利用されてなかったようです」

 ほとんど利用されていないようだとはいえ、千葉刑務所内の拘置所でもポケトークは導入されていた。千葉県で驚きの広がりを見せているポケトークだが、まだまだ局地的なトレンドだという。

「千葉県警は一部でポケトークを試験的に導入していますが、本格導入は未定のようです。警視庁を含めて他の県警で導入している話は聞きません」(社会部記者)

 日本社会の多様化が進む今、全国の留置場や拘置所でポケトークをピコピコする光景が当たり前になる日もそう遠くないのかもしれない。ゴーン被告が日本に戻る可能性は低いが、戻ればすぐに留置される。その時、ポケトークは導入されているのだろうか?