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外国人選手はいつまでも助っ人扱いなのか

 しかし、金本監督がいくら「エース・メッセンジャー」と公言しても、いまだに全マスコミがそれを統一記号化することはない。もちろん、先述した金本談話があった翌日の一部スポーツ新聞には「エース・メッセンジャー」という記述がちらほら見受けられたものの、その数はまだまだ少ない。本来なら、かつての井川がそうであったように、全マスコミがそろって「エース」と称してもおかしくない投手であるにもかかわらず、現在の彼についてマスコミが多用する言葉は「最強助っ人右腕」である。

 やはり日本球界においては、外国人選手はいつまでも助っ人扱いなのだろうか。野球協約によれば、メッセンジャーは今季終了時点で国内FA権を取得し、来季からは外国人選手枠の対象から外れる。つまり、日本人選手と同じ扱いになるわけで、そうなった暁には彼の見方も少しは変わるのかもしれないが、私としてはそれを待たずして、すなわち近年の彼の働きだけを評価して、「虎のエースはメッセンジャーだ」と言いたい。

 これだけ国際化が進んだ時代なのだ。エースは生え抜きの日本人投手であってほしいという、感情的なわだかまりもよくわかるのだが、それでも彼については、もうそれを取っ払っても良いのではないか。誰もがそういう目で彼を見ることが、メッセンジャーの功績への恩返しではないか。少なくとも、私は虎の外国人エースを誇らしく思う。いつか藤浪が誰もが認めるエースになる日まで、その眼前に立ちはだかる牙城であってほしい。

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 だからこそ、今季のメッセンジャーに望むのは圧倒的な成績だ。外国人投手2度目の沢村賞は昨年の広島・ジョンソンに奪われたが、こうなったら二年連続で外国人投手の沢村賞と、チームの優勝、そして昨年のジョンソンが果たせなかったMVPも獲得してほしい。

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