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「子供は絶対に欲しくない」という彼の考えを変える方法は?

「子供は絶対に欲しくない」という彼の考えを変える方法は?

鈴木涼美さんに聞いてみた。

2017/06/07

Q 「子供は絶対に欲しくない」という彼とどう話し合うべきか?

 結婚前提でお付き合いしている男性が、「子供は絶対に欲しくない」と言います。外銀勤務の彼は経済力については一切の懸念がないので、金銭的な理由からではなく、「子供が苦手。どう対応したらいいのかわからない。可愛いとも思わない」と言い、子供に対してかなりの苦手意識があるようです。甥っ子もいますが、特に何の感情も湧かない様子。そんな彼の考えを変えることは難しいのでしょうか? 考えを変えてもらうために具体的にどんなアプローチをしたらいいでしょう?(20代・女性)

A まず優先順位の整理を。そして徹底的な議論を

 ご質問の内容から見ると、質問者の方は将来的には彼と結婚し、子供を一緒に育てたいと思っているように見受けられます。つまり、末長く一緒にいたいという共通の思いはあっても、人生設計については意見の相違があるということだと思いました。

 子供が欲しいか欲しくないかに限らずそういったことはよくあると思います。地方に住みたい彼と東京に住みたい彼女、外食が嫌いな男と料理の嫌いな女、二世帯を計画する夫と核家族バンザイな嫁、などなど。ただ、こと子供に関してはなかなか折り合いがつかず、妥協点が見つからずに結果的に破局につながってしまうケースをよく聞きます。双方にとって、それくらい大切なことですよね。

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 まず重要なのは優先順位だと私は思います。彼は、子供を作らないこととあなたを失うことだったらどちらを選ぶのでしょうか? 一生添い遂げたいと思える人を失ってでも、子供だけは絶対に見たくも触れたくもない、と考えているようでしたら、そもそも優先順位で負けているこちら側が説得するというのは難しい気がします。また、質問者の方自身も、彼を失うことと子供を諦めることだったらどちらが苦しいですか?

ここは徹底的に議論してみては?

 それでも決めかねるほどにお互いの意見が食い違っていたら、なんとかせめて優先順位では揺れないくらいに彼の意見を柔和させる必要がありますよね。ここは徹底的に朝まで生討論をして、彼を黙らせるのもいいかもしれません。最近はカップル間でしっかりした喧嘩討論をする風潮がなくなっている気がしますが、うちの両親はしょっちゅう朝生もびっくりの激論を交わしていました。

 男の人は、議論、特に女との一対一の面と向かった議論は苦手、という人が結構います。最悪な結果を招かないために、討論をする、となったら女が得意な「感情に訴える」という方法は捨て、論理を好む男の人好みな論を展開するのがいいと思います。私の提案ですが、子供嫌いが飲めるロジックを持ち出すのはどうでしょうか?

 子供が可愛い、暖かい家庭を作りたい、愛している人との愛の結晶が欲しい、育てるのは絶対に楽しいなどという意見は、子供は嫌いじゃないけど経済的に不安がある人などには有効かもしれないけれど、子供に全く興味がない、むしろ苦手という人にはあまり効果がないように思います。可愛くなくても、苦手でも産んだ方がいい、という意見にしてしまう方がいい。

 ここは、徹底的に、少子化がいかに日本社会に深刻なダメージとなりうるか、といった理詰めで攻めてはいかがですか? 日本では70年代以降、合計特殊出生率が一貫して低迷しています。このままの状況では人口が維持できません。急速な人口減は国の維持そのものが危うくなります。下調べをして議論に挑み、自分が産まなくても誰かが産んでくれるという意見がいかに利己的か、経済的あるいは身体的理由で産めない人もいる中、経済的にも健康的にも恵まれている自分たちは責任感を持ってもいいのではないか、などについてとうとうと説いてみたら、「別に子供を可愛いと思わないからいらない」という彼の意見は、別のロジックで論破できる気がします。

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