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【西武】かつてはヤジも楽しみの一つだったが……岸孝之へのブーイングの是非

文春野球コラム ペナントレース2017

2017/05/13
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鳴り物応援が存在しなかった時代の楽しみ方

 かつて、鳴り物応援が存在しなかった時代は「ヤジ」を聞くのも楽しみの一つでした。客席から絶妙のタイミングで飛ばす言葉に選手も下を向きながら笑っていました。とくに関西地区はセンス抜群。阪急(現オリックス)の本拠地西宮球場で名物だったダミ声のヤジの主は、聞けば阪急電鉄の社員だったとか。内容は詳しく覚えていませんが「自虐モノ」が多かったですね。阪急の投手が打たれた時、チャンスで打てなかった時など大きな声でボヤくので、球場の笑いを誘っていました。

客席でスコアブックを付けながら観戦 ©中川充四郎

 こんな場面もありました。ある日の阪急対西武戦で西武のワンサイドゲームになり、阪急の応援サイドは急きょ西武の応援に回りました。このタイミングで西武の応援サイドが阪急の応援に。阪急の選手が安打を放つと西武側が沸き、西武の投手が抑えると阪急側から大きな拍手。奇妙な光景でしたがファンの野球の楽しみ方、オーバーな表現かも知れませんが「文化の違い」を感じたものです。でも、そのくらいの余裕を持って観戦できたらイイですね。

 日本ハムがまだ東京ドームを本拠地としていた時、客席はあまり埋まりませんでした。ここでの試合の序盤が終わったころになると、球場に響き渡る少し高めのトーンで応援していたファンがいました。仕事の関係で7時ぐらいにならないと球場に足を運べなかったのでしょう。なので、この声が聞こえ始めると「時報代わり」になったものです。「文春野球コラム」で日本ハムを担当しているえのきどいちろうさんの知り合いだったかもしれません。

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 以前、「球音を楽しむ」と銘打って鳴り物自粛の応援企画がありました。「バシーン!」と投球を受けるミットの音。「カーン!」と響く打球音。なかなか趣がありました。今季、オリックスが復活させるような記事を目にしました。大歓迎です。野球場での楽しみ方はそれぞれですが、「また球場に行ってみたい」と思ってもらうのがベストです。応援するチームの勝利で観戦の満足を得られますが、毎回そうはいきません。

 どこかの球場でこんな企画はいかがでしょうか。「ヤジを楽しむ日。ユーモアがあり、罵詈雑言は禁止」というテーマで。

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※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/2513でHITボタンを押してください。

対戦中:VS オリックス・バファローズ(MEGASTOPPER DOMI)

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