おぐらりゅうじ(左)=1980年生まれ。編集者。速水健朗(右)=1973年生まれ。ライター。 ©杉山秀樹/文藝春秋

日本の夏の光景を変えた小池百合子のクールビズ革命

おぐら 5月7日、無所属のマクロン氏が、決選投票で極右政党である国民戦線のルペン氏を破ってフランス大統領選挙に勝利しました。

速水 韓国の大統領選も、5月9日に行われて、文在寅氏が当選。大きな選挙戦が続いているけど、今日、取り上げたい問題は、別にある。

おぐら 今度はどこの学園ですか?

ADVERTISEMENT

速水 なぜ学園しばり(笑)。大統領選に比べての学園問題って、並べると何か小さい問題に見えるよね。スケバン刑事とかが解決してくれそうというか。

おぐら ヨーヨーで圧力を撃退しましょう。

速水 そうじゃなくて、したいのは冷房の温度設定の話。

おぐら 学園問題よりも小さくなってません? 環境省が決めた「夏の冷房は28度に設定」が、12年経ってようやく見直し論が出た話ですよね。

©杉山秀樹/文藝春秋

速水 一応、近づいてきている東京都議会選に絡んだ話ではある。この話を持ち出してきたのは自民党で、都議会で対立関係にある小池百合子都知事へぶつけてきてる。

おぐら そもそも28度設定ってエアコンが古かったり、パソコンの台数とか部屋の大きさとか、環境によって適正温度は違いますよね。

速水 それもそうだけど、クールビズがはじまったのは2005年で、当時の環境大臣は、現都知事の小池百合子でしょ。彼女の政治家としての功績の筆頭がクールビズの成功だったのね。

2011年6月 かりゆしウエアを着てスーパークールビズをPRする(左から)小池百合子氏、斉藤鉄夫氏、小沢鋭仁氏ら歴代環境相と松本龍環境相(東京・中央区の日本橋三越本店) ©時事通信社

おぐら 確かに。当時、クールビズファッションを打ち出して、2005年のベストドレッサー賞とかとってましたね。ちなみに、小池百合子は2016年に2度目のベストドレッサー賞を受賞しています。

速水 あのクールビズ以降、ノータイ、ノージャケットが定着したことで、日本の光景を変えたのは事実。そもそもこんな亜熱帯に近い気候の国でサラリーマンが年中スーツにネクタイっておかしかったんだよ。

おぐら 慣習を覆した功績は大きいですよね。一度定着したものを後から変えるのって、想像以上に難しいですから。ドレスコード革命なんて言われ方もしましたし。