文春オンライン

オリラジ中田敦彦を「フェイク問題に警鐘を鳴らす芸能人」扱いしたNHKの罪

「YouTube大学」問題の核心は、内容の誤りではない

2020/01/19
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 先日、Yahoo!ニュース個人にて公開した「『責任持った発信が大事』と話す中田敦彦がYouTubeでフェイクを流す問題点」と題した記事の中で、オリエンタルラジオの中田敦彦が運営する「中田敦彦のYouTube大学」の問題点を指摘したところ、想像以上の反響を頂いた。

オリエンタルラジオの中田敦彦。「教育系YouTuber」として毎日動画を配信しているほか、オンラインサロンも運営している

 その反響を観察していると、記事に肯定的か否定的かを問わず、中田が間違った内容を発信していることを問題視する記事だと捉えている人が多かった。確かに中田の間違いは洒落にならないほど多く、「満州事変で張作霖が爆殺された」など、中学レベルの誤りすらある(張作霖が爆殺されたのは、張作霖爆殺事件、または満州某重大事件である)。

問題の核心は内容の誤りではない

 しかし、記事中で言及しているとおり、YouTube大学が無視できないのは、その内容もさることながら、中田個人に問題がある。中田はNHKのフェイクニュース問題番組で司会を務めた他、フェイクを防ぐための提言として「責任をもって発信することが大事」と述べている。その中田が、無責任に発信するのはいかがなものか。記事のタイトルや、記事冒頭に掲載したキャプチャ画像からもこの点を強調しているのだが、単に誤りが多いという批判と理解する人が多かったようだ。

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フェイクニュース問題番組での中田氏の発言(クローズアップ現代+アカウントより)

 誰しも誤り自体は避けられない(中田のは多すぎるが)。そして、一般の方が記事を誤って理解するのは致し方ない面もある。だが、筆者の記事を受けて、インターネットテレビ局AbemaTVの報道番組「AbemaPrime」が1月16日に放映した、「オリラジ中田の動画に“デタラメ”批判」でも、単純に中田の誤りの是非に矮小化されて報じられていたのには驚いた。ネットテレビとはいえ、プロがやっている以上、問題の核心を汲んで欲しかったのだが、放送された内容には失望した。

悪意が無ければよい?

 問題の核心について、もう少し突っ込んで話をしよう。記事に対する反応で多く見られたのが、「中田に悪意は無いからよい」といった中田擁護論だ。結論からいえば、悪意のある無しはまったく関係がない。

 そもそも、中田が「責任をもって発信することが大事」とコメントを寄せたのはどんな番組だったのか。それは、NHKのクローズアップ現代+が2019年3月4日に放映した、「“フェイクニュース”暴走の果てに ~ある外交官の死~」だ。