昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

不眠症でも「家賃は払わなきゃ」……30代に突入した人気インフルエンサーたちの悲惨な末路

飽和状態の業界で次のブームは「幼児インフルエンサー」

2019/12/08

 2014年、フロリダでみずから身体に火をともした11歳が病院へ搬入された。男児の身体には複数回の火傷の痕があったという。いったい何故、そんな真似をしたのか? 「注目」が欲しかったからだ。

 当時アメリカの子どもたちの間では自分の身体に火をつける動画をSNSにアップする「ファイア・チャレンジ」が流行しており、搬送された児童もそれに挑戦しようとしたに過ぎない。ただ「注目」が欲しいからといってなんと馬鹿な真似を……と思うだろうか。では、その「注目」に値段がつくとしたら?

 

 今、YouTubeやInstagramで人気者となり、親以上の収入を稼ぐティーンエイジャーが増えている。若者の約9割が「有償インフルエンサーになりたい」と答える状況となったアメリカでは、中学生のうちに数百万円、未成年のうちに数千万円稼ぐYouTuberの存在も珍しくはない。

「SNSでなら億万長者になれる」と豪語した1991年生まれのインフルエンサー、アマンダ・チェルニーは、ビルの屋上から道路へとドル札を降らす「金の雨」動画を作成。彼女のスポンサーつきInstagram投稿報酬は、22歳の時点で1投稿あたり50万円にものぼっていた。

 若くして大金持ちになれるとは夢のような世界だが、そこから年齢を重ねた人気インフルエンサーの人生はどうなっているのだろうか? 2018年Netflixよりリリースされた『アメリカン・ミーム』は、インフルエンサーの繁栄と凋落を追うスキャンダラスなドキュメンタリーだ。

10万「いいね!」を稼げたらくだらないタトゥーを入れる

 出演者が強調する戦略は「極端」と「誇張」。元手が無い一般庶民の場合、ただ私生活を映すだけでは「いいね!」を稼げないし、企業からの高報酬スポンサー投稿オファーなど夢のまた夢だ。膨大なユーザーのなかで目立って出世するためには、身体をはって危険なチャレンジに出たり、地味な日常を大げさに演出することが手っ取り早い。

 たとえば、熊の着ぐるみを着てパトカーを襲撃するチャレンジ動画や、10万「いいね!」を稼げたらくだらないジョーク画像のタトゥーを入れる企画。建物や自動車にぶつかる撮影をつづけて骨折するユーザーも珍しくない。そうして出世したインフルエンサーのなかには「一番はやく指定場所に来た人に1万ドル贈呈キャンペーン」など、稼いだお金を派手に有効活用していく者も多い。

©iStock.com