幼い子どもや赤ん坊を使ったコンテンツ製作で荒稼ぎも
インフルエンサーたちが打ち捨てられて地獄を見ようと、インフルエンサー・マーケティング市場は急速に拡大している。マーケティング企業IZEAによると、2014年には150ドルにも満たなかったInstagramスポンサー投稿の平均コストは5年間で12倍の1,643ドルに増加した。
『アメリカン・ミーム』発表後も、自然災害被害者への追悼を装ったインフルエンサーたちの宣伝投稿が乱立するなど、さまざまな問題が発生したが、成長に停滞はない。2020年には100億ドル産業に達する見込みだ。大金を稼ぐ10代も珍しくなくなった昨今、注目の新ブームは「幼児インフルエンサー」。アメリカを筆頭に、多くの親が幼い子どもや赤ん坊を使ったコンテンツ製作で荒稼ぎしているようだ。
死を恐れるパリス・ヒルトンはヴァーチャルの世界へ
『アメリカン・ミーム』には、作品プロデューサーも務める「インフルエンサーの始祖」パリス・ヒルトンも出演している。
数々のビジネスを成功させて注目を浴びるのにも飽きた一方、子育てに勤しむ同年代とも距離があいたアラフォーの彼女は、もっぱら「死」を恐れるようになったそうで、自身の存在をヴァーチャル領域へ移行する実験を始める。彼女の死後も永遠につづく「インフルエンサーと支持者」限定のデジタル・パーティー空間を構想しているようだ。
成功者が「永遠の生命」を求めるSF映画のような展開だが、子どもたちが電子世界の注目を求めて自らに火をつける今の世界自体、すでに十分「ありえるはずのないフィクション」と呼ばれてきた状態かもしれない。