あきらめなければいつか絶対に輝ける
大学時代も冒頭の三人衆の活躍の陰に隠れ、大舞台で実力を披露する機会に恵まれなかったが、“あきらめなければいつか絶対に輝ける”という自身の野球観のもと、藤井は練習を続けた。
「うまくいかずに途中でやめていく人も見てきました。当時同じように試合に出られていなかった上茶谷と“絶対に頑張って上を目指そう”と励ましあっていました。4年次に就任した杉本泰彦監督の指導のおかげでモチベーションが上がった。杉本監督の勧めでエネオスの練習に参加し、縁あって卒業後も野球を続けることができたので感謝しています」
昨年6月のJABA(日本野球連盟)北海道大会で取材をして、その後ちょっとした会話をすることはあったものの、長く話を聞いたのは久しぶりだった。素直で野球が好きな好青年といった姿から、経験を経てたくましく成長を遂げた姿を見て、チームが掲げる今季のスローガン「ドラマティックチェンジ」を見せてくれるのではないかと期待が沸く。
大久保監督からの信頼も厚く、「藤井が一番頑張っている。プロを意識するところもあるかとは思うが、夢をかなえてほしい反面、素材だけで行くのではなくて、チームを勝ちに導いてから次のステップに行ってほしい。それが社会人野球の使命」と、評価が高いからこそ、求めるものも大きい。
従来なら夏の祭典であった都市対抗野球大会が今年はオリンピックイヤーのため11月22日スタートとなった。運命の西関東予選は9月開催だ。通常よりも長い調整期間となり、チームが劇的な変化を見せるまでにはかなりの余裕ができたことになる。
「ストレートはもちろんですが、繊細なコントロールと変化球の向上を課題にしています。それに加えて私生活からすべてをチーム全員で変えていきたい。今は意識を変えたことで毎日が楽しいです。取り組みを変えて自分のためになっていることが分かるから、ワクワクしています」
自分のすべきこと、目指すものが明確になった藤井からは、エースの風格が漂っていた。大学・社会人と負けず嫌いの“雑草魂”でやってきた藤井は、この秋花を咲かせようとしている。
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