機は熟したと言える。2020年、千葉ロッテマリーンズは1月5日より対外的な活動を開始した。スタートを切ったのはプロ3年目、安田尚憲内野手の自主トレ公開。大阪は茨木市にある母校・履正社高校のグラウンドにてマスコミに安田の練習模様をお披露目した。「東の清宮、西の安田」と言われて3年目。ついに“幕張のゴジラ”が本物となるシーズンを迎える。覚醒の時。そんなメッセージを込めて千葉ロッテマリーンズ最初の自主トレ公開は他でもない背番号「5」からとなったのだ。
見据えていたのは3年目での爆発
安田は井口資仁監督らによる入念な育成プログラムの下、順調にこの時を迎える。1年目に一軍を経験。プロ初ヒットと初本塁打を記録する一方で、一流の壁を肌で感じた。2年目は二軍で育てた。中途半端には一軍で起用をしないという首脳陣の鉄の意志の下、二軍では常時4番として試合に出場し19本塁打、82打点で本塁打王と打点王を獲得。1年目に味わった壁を克服するため、練習に没頭する日々を送った。
「確かに去年も何度かチーム状況的に上で使ってみてもいいのかなあと思えた時期もあったけど、彼はずっとレギュラーとして試合に出なくてはいけない選手。その状態、能力がついてから一軍にと考えた。だから中途半端には上げなかった。去年は二軍で4番として、とにかく多くの試合に出せた。二軍とはいえ4番はチームの顔であり勝敗を左右する打順。4番の重圧を乗り越えチームを勝利に導ける選手になって欲しいとの思いで二軍では4番で使い続けてもらった」
井口資仁監督は3年目を迎える安田の起用に関してそのように説明する。監督就任時のドラフト1位であり、指揮官と共に歩みを見せている。その長打力を見れば器が違う事は誰の目から見ても明らか。一軍で試してみたくなる気持ちをあえて封じ、大局観の志に徹した。見据えていたのは3年目での爆発だった。
「1年目は出来る限り一軍の力を知ってもらいたかった。だから新人王の権利がなくなるギリギリまで打席に立たせた。去年は同じ年のスワローズ村上が活躍して新人王になって悔しかったと思う。ただ二軍でしっかりと土台作りが出来た1年になったのではないかと思う。村上の活躍を刺激に変えて飛躍する時が来ている」(井口監督)