昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2017/06/03

菅義偉 官房長官
「彼は異常だよ。とんでもない輩だ」

『週刊新潮』6月8日号

「総理のご意向」文書が発覚した直後の5月22日、読売新聞が「前川前次官 出会い系バー通い」と題して、前川氏が「売春や援助交際の交渉の場になっている」という歌舞伎町の出会い系バーに頻繁に通っていたことを報じた。前川氏は記者会見でそのことを認め、「女性の貧困を実地視察調査」するためだったと理由を語っている。バーで出会った女性と食事をしたり、お金をあげたりして話を聞いていたという(産経新聞 5月25日)。

菅官房長官 ©JMPA

 菅官房長官はさっそく記者会見で「強い違和感を覚えた。常識的に言って、教育行政の最高の責任者がそうした店に出入りし、小遣いを渡すことは到底考えられない」と批判(朝日新聞 5月26日)。その前日の記者会見でも前川氏を名指しして「地位に恋々としがみついていた」と批判していた(毎日新聞 5月25日)。官房長官が特定の個人を強く非難するのは極めて異例のことだ。

「私も出会い系バーに『実地視察調査』に行っていいことになるね」

『週刊新潮』6月8日号は、菅官房長官がオフレコで記者団に語った前川氏に対する“口撃”を採録している。その一つが冒頭の言葉である。その他にも、「彼はその出会い系バーに、50回も100回も、繰り返し行ってるんだよ」「文科事務次官の立場にある人が最もやってはならない行為でしょ」「(前川発言が世間に受け入れられるのであれば)私も出会い系バーに『実地視察調査』に行っていいことになるね」……などなど。「総理のご意向」文書を本物だと認めた前川氏への敵意を隠さず剥き出しにしている。

 なお、新聞が官僚の犯罪ではないスキャンダルを報じるのも異例のこと。『週刊新潮』6月1日号は、「安倍官邸は警察当局などに前川前次官の醜聞情報を集めさせ、友好的なメディアを使って取材させ、彼に報復するとともに口封じに動いたという」と記している。ここでいう「友好的なメディア」とはもちろん、安倍首相が「ぜひ熟読してもらいたい」と語った読売新聞を指す。

 民進党の宮崎岳志衆院議員は、5月25日の加計学園疑惑調査チームのヒアリング調査の中で、読売新聞の記者が「報道が歪められた」と泣いて怒っていたと証言した。行政だけでなく、報道まで歪められているのが事実だとしたら大事だ。

出会い系バーで前川氏と会っていたA子さん
「私は前川さんのおかげで今があると思っていますから」

『週刊文春』6月8日号

 読売新聞「前川前次官 出会い系バー通い」報道の後追い記事も多かった。産経新聞が運営するネットメディア「zakzak」では、「『詭弁の極み』…前川氏『出会い系は貧困調査』にネット大炎上 和田政宗氏『広義の援助交際』」と題した記事を掲載した(5月27日)。

 記事の中で無所属の和田政宗参院議員(自民党会派に所属)は前川氏の行為を「文科省のトップが現職中に『広義の援助交際』を行ったとみられてもおかしくない。大問題だ」と批判。また、ノンフィクションライターの窪田順生氏も「女性の貧困を潜入調査してくれなんてことは国民は誰も頼んでいない」と批判している(ITmediaビジネス 5月30日)。

 窪田氏は同記事で「もしも加計学園問題の全貌を本気で解明しようというのなら、前川さんの『出会い系バー通い』が本当に『貧困調査』なのかという検証も避けては通れない」とも書いているが、それ関係なくない?

前川前次官 ©時事通信社

『週刊文春』6月8日号は、前川氏が出会い系バーで知り合い、頻繁に会っていたという女性A子さんに取材を行っている。記事を読むと、「まえだっち」(前川氏の愛称)って本当に良い人なんだな……という感想しか浮かばない。A子さんの母も「結婚したら前川さんを結婚式に呼びなよ」と言うほど信頼を寄せていたという。A子さんの母は前川氏の記者会見を見て「まえだっちが安倍首相の不正を正してる」とLINEをA子さんに送ったとか。

前川氏は次官退職後、NPO法人キッズドアで低所得の子どもたちのためにボランティア活動を行っていた。同代表の渡辺由美子氏によると、前川氏は一般の学生や社会人と同じようにホームページから申し込みを行い、熱心に活動を行っていたという(ブログより 5月27日)。