新年早々、イラン革命防衛隊コッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官(享年62)がイラクで米軍の無人機に攻撃され、殺害された。米軍が狙っていたのは、ソレイマニ司令官だけではない。ソレイマニ司令官殺害と同日、イエメンにおいて同部隊の財務部門幹部アブドル・レザ・シャハライ司令官の殺害作戦も実行されたが、こちらは失敗したという。
そして、はるか極東の地においても、米軍が殺害を狙っていたターゲットが存在する。
言わずと知れた、北朝鮮の金正恩委員長である。
2017年に米国と北朝鮮の間で軍事的緊張が高まった際、米国政府は北朝鮮の核施設や弾道ミサイル基地に限定した攻撃を企図していた。作戦名は「ブラッディ・ノーズ(鼻血)作戦」と命名され、事実上「北朝鮮の指導部を含む、朝鮮人民軍への総攻撃」(アメリカインド太平洋軍幹部)が予定されていたのである。
大都市への天然痘ウイルス曝露まで想定
金正恩排除後の懸念まで、米軍は緻密にシミュレーションしていた。アメリカ太平洋艦隊関係者が明かす。
「作戦立案の過程で、ある深刻な懸念が俎上に載った。もし総攻撃によって、北朝鮮の最高指導部(≒金正恩)のみを排除した場合のことだ。指揮系を失った残存部隊が暴走し、あらゆる兵器の使用をためらわない可能性だ。その兵器とは、核、細菌やウイルスなどの生物兵器、VXやサリンなどの化学兵器などの大量破壊兵器までを含む」
具体的には、生物兵器を管轄しているある朝鮮人民軍幹部が天然痘ウイルスをひそかに持ち出し、ソウル、東京、ニューヨークなどの大都市に曝露した場合のシミュレーションまで行われていたという。