忘れてはいけない加計問題、今週の動きを「発言」で総ざらい
松野博一 文科相
「メモが作成された以上は、その場において、そういった発言があったのだろう」
BuzzFeed JAPAN 6月15日
学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる問題について、「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと記された文書に関する再調査結果がようやく出てきた。結果は「確認できた」。記者会見で松野文科相は次のように述べている。
「ヒアリングを行った結果、内閣府の職員から、この種の発言があったと文部科学省の職員は考えている。メモが作成された以上は、その場において、そういった発言があったのだろう。具体的な話があったわけではないので、真意についてはわからないという結果を得ている」
これを受け、指示を出したとされる内閣府でも調査を実施することが決まった。以前から文書の存在を証言していた前川喜平前文科事務次官は会見で「文科省専門教育課がつくり、職員が内閣府の藤原豊審議官がおっしゃったことを書き留めた」と語っている(毎日新聞 6月15日)。藤原審議官は国会答弁で「内閣府として(文科省に)『総理のご意向』などと申し上げたことは一切ない」と反論しているが、そもそも今治市の担当者と自分が会ったかどうかについて「自分がお会いしたかどうかも含めて、今治市との面談は確認できておりません」と衝撃の回答を行った人物。今後の調査でどんな結論が出るのか注目される。
また、今年3月、安倍首相は「働きかけているというのなら、証拠を出してください。そうだったら、私は責任をとりますよ。当たり前じゃないですか」と国会で語っていたが、松野文科相の「そういった発言があった」という言葉にどう対応するのだろうか? こちらにも注目だ。
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菅義偉 官房長官
「『怪文書』という言葉だけが独り歩きしているのは極めて残念だ」
NHK NEWS WEB 6月15日
文科省の再調査結果を受けて記者会見で菅官房長官が放った衝撃の言葉。「怪文書という認識は変更したのか」という質問に対してこう答えている。「総理のご意向」文書を最初に「怪文書」として流布したのは菅官房長官だったはずだ。いったい何を言っているのだろう?
また、同日に文科省から公表された資料によると、萩生田光一官房副長官と内閣府の藤原審議官が文科省の担当者に対し、「広域的に」と「限り」の文言を付け加えるように指示していたことがわかった。京都産業大学も学部新設を希望していたが、大阪府内の大学に獣医師養成課程があることから「広域的に」「限り」の文言が障壁となって断念した経緯がある。この2つの言葉によって「加計ありき」の規制緩和が進められた疑いが強まっている(毎日新聞 6月16日)。
ただし、先の記者会見で菅官房長官はこのことについて「萩生田氏によれば、修正の指示を出したことはないということだ」と一蹴している。野党は追及を強める構えだが、先ほども述べたとおり、国会会期は事実上16日で終わる。このまま幕引きとなってしまうのだろうか?
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義家弘介 文科副大臣
「告発内容が法令違反に該当しない場合、非公知の行政運営上のプロセスを上司の許可無く外部に流出されることは、国家公務員法(違反)になる可能性がある」
朝日新聞 6月13日
「総理のご意向」文書の存在などを告発した文科省の内部告発者について、元“ヤンキー先生”こと義家文科副大臣は13日の参院農林水産委員会で、国家公務員法違反(守秘義務違反)で処分することもあると示唆した。「一般論として」と前置きされていたが、内部告発をする人たちへの影響は大きい。
義家副大臣は7日の衆院内閣委員会で「自分が見ていないものは行政文書じゃない」と語って物議を醸していた。また、8日の参院農水委では「(情報を)マスコミに対してではなく、私のところにきちっと届けていただければ」と述べたが、自由党の森裕子議員に「信用されてないから届けないんですよ。握り潰すと思っているから届けないんですよ」と切り返されている。その後、あらためて「国家公務員法違反になる」と言っているのだから、義家氏のところに情報が届くわけがない。
松野文科相が「国民の声に真摯に向き合い、改めて徹底した追加調査を行ってまいりたい」と話していたのに(ハフィントン・ポスト 6月9日)、その部下である文科副大臣の義家氏がこのようなことを言うのは矛盾している。文書の登場人物である義家氏の今後の発言にも注目だ。