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カープファンにとってユニフォームは樽募金のようなもの

 そもそも、カープファンが無料でユニフォームがもらえるという機会に恵まれたことは、これまでたったの一度もない。ジャイアンツは、ガールズユニフォーム配布は今のところ無いものの、無料ユニフォームの配布は毎年行われている。他の球団も、ガールズユニフォームだけではなく、男女ともに配布されている。ユニフォームプレゼントの文化は広島東洋カープには無い、それは12球団唯一となる。

 カープが12球団唯一と言えばそう、市民球団であるという事だ。球団設立1年目を終えると同時に存続が危ぶまれたカープが市民の樽募金で存続することが出来たのはあまりにも有名な話だ。ユニフォームの無料配布は、スポンサーの富の象徴であり、余裕ある資金の表れである。ユニフォームを無料で配布されないという現状は結局、親会社を持たない市民球団だということの証で、今も市民に支えられている球団だという誇れる事なのかもしれない。

 可愛くて特別なガールズユニフォームがもらえるなんて羨ましいと思ったことは何度もある。だけど、もしカープで配布される時が来るとしたら、それはもう市民球団のカープじゃなくなった時なんじゃないか。そうなってほしくないという気持ちで、これからも日々球場へと通い、そして新作のワンピースを我慢して新しい背番号のユニフォームにまた手をのばしちゃうわたしがいる。

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 カープのユニフォームは安いもので4500円、レプリカ5000円、ハイクオリティー8000円と決して安い買い物ではない。それなのに、スタジアムのスタンドはユニフォーム姿のファンで埋め尽くされている。他の11球団と比べても明らかにその数は多い。ユニフォームを着るという事、球場を真っ赤に染めるという事、それは自分たちが球団を支えているという事と直接的につながっている。

 カープファンにとってのユニフォーム、それは、現代の樽募金の形のひとつだと思う。スタンドの真っ赤なその光景はファンの支えそのものなんだ。

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