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「人間って周りに人間がいるほうがいいよ」山奥でひとり暮らしの桜玉吉に起きたこと

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 週刊文春で『日々我人間』の連載が300回を超えたのを機に、桜玉吉さんと元コミックビーム編集総長の奥村勝彦さんの対談してもらいました。奥村さんは長く担当編集をつとめた30数年の間柄で、作中では「O村」としてファンにはお馴染みの存在です。

 単行本の打ち合わせを兼ね、玉吉さんが愛車を駆って東京は三鷹にやってきたのは、2019年秋のこと。以下、2本の作品とともに、『日々我人間(2)』に収録された対談の前半部分をご紹介します。

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奥村 連載300回だって?

玉吉 うん。

奥村 何年だ?

玉吉 丸6年くらい。

奥村 すげえじゃねえか。1回も落とさなかったのか?

玉吉 んー、1回だけ落としたかな。どうしても起きられなくってさあ。

 
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奥村 おう。上出来だよ。

玉吉 ムカデが天井から落ちてきた音だとすぐ目が覚めるんだけど。

奥村 ムカデの話、多いよな。

玉吉 もうムカデと住んでるようなもんだからね。死骸が転がっていてもしばらく放っておいたりするし。

奥村 ……捨てろよ。

玉吉 いちど家の門の前に並べたことがあったな。20匹くらい。郵便配達の人、戦慄(笑)。

奥村 風でとんじゃうだろ。

玉吉 ムカデはとばないな。

奥村 何回くらい嚙まれたんだ?

玉吉 5回くらい。

奥村 何だよ、くらいって。

玉吉 嚙まれたかどうか分からないときがあったんだよね。寝てるときに脇腹に違和感があって、夢の中でつかんでびゃって壁に投げたんだけど、起きたら実際にムカデが伸びてた。

奥村 嚙まれたかどうか分からない? 甘嚙みかよ。ぐははは。

玉吉 夕べ久しぶりにホテルに泊まったら、ムカデを気にしなくていいって、こんなに楽なんだってわかったよ。

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