最近「あまり新聞を読まない人も興味を持てるような新聞の楽しみ方を」と各所で言われます。
そこでよく使っているのが「1塁側と3塁側」の例え。
ゲンダイと東スポは球場のどこにいる?
野球を観にいくと、1塁側にはホームチームを応援する観客が多い。3塁側はビジターで、ホームチームとは距離を置く(ファンが多い)。
「安倍政権」という野球場でも同じではないか? それぞれの席に各新聞がいると考えてみるのだ。1塁側には読売新聞、産経新聞。3塁側には朝日新聞、毎日新聞、東京新聞。この様子を眺めてみる。
「本来、ジャーナリズムってみんな3塁側じゃないの?」という基本的な疑問は置いといて、とりあえずこの図式を頭に入れておく。
ちなみに夕刊紙で言うと、日刊ゲンダイは外野席の一番前で野次を飛ばし、東スポはバックスクリーンの横で双眼鏡片手にベンチ内を探っているイメージか。
「2020年大好きおじさん」という問題
では同じニュースなのに「1塁側、3塁側」の違いが分かる例をあげていこう。1塁側の代表・読売新聞と3塁側の代表・朝日新聞の紙面から紹介していきたい。
認可保育施設に入れない待機児童を解消する問題。安倍政権は3年遅らせて2020年度末を解消時期とすることで最終調整に入った、というニュース。本当は17年度末までに「ゼロ」にする目標を掲げていた。これを「朝日」と「読売」はどう報じたか。
「『待機児童ゼロ』3年先送り 今年度末の達成できず」(朝日新聞・5月31日)
「先送り」という言葉は「毎日」「東京」「日経」も使用していた。これに対し「読売」は、
「待機児童ゼロ 20年度目標」(5月31日)
と書いた。
「目標」という言葉づかいは何ともポジティブ思考ではないか!
こう考えると待機児童解消も東京五輪も憲法改正も、2020年がくればバラ色に変わるという「2020年大好きおじさん」が世の中にはいることがわかる。