目指すは東京五輪
日本からケニア代表チームが待つ目的地までは飛行機と車を乗り継いで30時間ほどの道のり。そこで待っているのは未知の世界。それでも胸の高鳴りを抑えきれない様子だった。
「まずは10日間ほど見て帰ってくるけど、これからも協力できることはさせてもらいたい。なんとか東京オリンピックに出てもらうためにな」
お土産は現地ではなかなか手に入らないという野球道具の数々。ボールは5ダース持ってアフリカ大陸へと旅立った。
それから数日後、私の携帯にメールが入った。
「めちゃ面白いで! 野球の野の字も知らんから一から教えないとアカンけど、それがまた楽しいし、その身体能力に無限の可能性を感じる。みんなやる気に満ち溢れていて上手くなろうと必死やしな! いいところやし、最高やで」
そして現地での交流、セレクション模様など数枚の写真が送られてきた。それらからも盛り上がっている様子がはっきりと見てとれた(個人的には、はるか遠くアフリカ大陸から携帯でメールのやりとりが出来ることに少しばかりビックリ。世界を取り巻く情報社会の発展は凄いと改めて思いました)。
はたして現役時代、鉄腕の異名をもった藤田氏は今後、どのような形でケニアの野球振興に貢献していくのだろうか? 強気の投球でマリーンズのブルペンを支えた名物左腕の新しい挑戦にこちらも胸の高鳴りを覚える。目指すは東京五輪。まだ始まったばかりのケニアの野球への挑戦とそれに携わる元マリーンズ選手の奮闘にぜひ注目をして欲しい。
梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)
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