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サンシャイン水族館「“天空のオアシス”として生まれ変わった理由」――水族館哲学1

水族館プロデューサー・中村元の『水族館哲学』から紹介します

2017/07/07

genre : エンタメ, 読書

note

度肝を抜く展示法

 その青と緑の効果は、屋上の広いエリアで最高潮になる。美しく緑化された屋上は、まさしくサンシャイン=「太陽の光」にあふれたオアシスだ。人々の頭上で、青空を背に気ままに泳ぐ「天空のアシカ」は、このオアシスのシンボルである。

植物の緑が眩しい淡水エリア。

 そして今夏(2017年)オープンしたばかりの展示は、従来のペンギン展示の常識を覆してしまった。ペンギン展示といえば岩場ばかりで、それが一般的なイメージだ。しかし実際、野生のペンギンは花咲く緑の草原で営巣もするのだ。その生態を「草原のペンギン」コーナーでご覧いただける。そして見上げれば、東京の空を悠々と飛んでいるかのように泳ぐ姿を目の当たりに体感できる「天空のペンギン」の展示もある。その姿は本当に美しい。いずれもケープペンギンの野生本来の姿を生き生きと見せつつ、見事なオアシスとなっている。

緑に囲まれた空の下で泳ぐ天空のアシカ。
都会の空を泳ぐかのような「天空のペンギン」。

 心のどこかで渇き感を覚えているみなさんには、水族館に出かけていただければと思う。きっと心身に潤いがもたらされ、リフレッシュできる。そして、現代の水族館がいかに現代日本人に必要不可欠な施設であるかを実感できるはずだ。

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CHECK!
 勤め人のみなさんには、夕方以降もおすすめだ。昼の輝くような賑やかさがおさまると水塊の力はさらに増す。2017年夏のリニューアルゾーン「天空のオアシス第2章」の照明は、映画「アバター」の惑星パンドラをイメージする幻想的な美しさ。流行りの派手なプロジェクションマッピングとは一線を画した揺らめく淡い色に浮遊感を感じる。夜の屋上はビアガーデンにもなり大人の時間が楽しめる。ただ圧倒的にカップルが多くなるので、一人で訪れるときには心の準備が必要かも。

DATA

サンシャイン水族館 
TEL.....................03-3989-3466
住所....................東京都豊島区東池袋3-1-3 サンシャインシティワールドインポートマートビル屋上
URL....................http://www.sunshinecity.co.jp/aquarium/
開館時間.............10:00~20:00(4~10月)、~18:00(11~3月)(変更あり。要確認)
休館日.................なし 
入館料.................高校生以上大人2200円、小中学生1200円、幼児(4歳以上)700円
交通....................池袋駅から徒歩約10分。東池袋駅(東京メトロ有楽町線)から徒歩約5分
車=首都高5号線東池袋出口から直結

データは2017年5月現在のものです。

文・写真 中村元

水族館哲学 人生が変わる30館(文春文庫)

中村元(著)

文藝春秋
2017年7月6日発売

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サンシャイン水族館「“天空のオアシス”として生まれ変わった理由」――水族館哲学1

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